リンゴ飴

 秋は祭りの季節で わが家の氏神様の祭礼も賑やかである。
もっともここの氏神様は出雲の流れの神様で、農事に欠かせない水の神様だけ あって 二日続きの祭りは、何時も何故か雨にたたられる事が多かった。
しかし時代の流れには逆らい様も無く、今年から祭りは週末の二日があてられる 事になった。
  この日には雨などを恵んでやろうかと何時も予定を組んでいる神様も、人間界の ご都合にはいささか戸惑われるかも知れない。
しかしお載り頂く神輿の担ぎ手の都合もあるから、申し訳ないけれども神様には 少しがまん して頂く他はないと思う。
 祭礼当日は晴天に恵まれて神輿も晴れやかに繰り出して欲しいものである。

   隣町は東京でも有名な大きな商店街なのでこれは相当昔からひと月繰り上げられていたが、お盆と重なると言うので祭礼は8月終わりの週末である。
 そこの神様は熊野系で、きっと我が氏神様とはその役割分担が違うのだろうが、人間の勝手気侭に戸惑いも大きいのではないかとお察し申し上げる。

 閑話休題、さて何時も宵宮の晩にお参りに出掛けるのだが約200mの参道は言う に及ばず、 お宮の周りの路上には数多くの露天が並んでの賑やかさは昔の通り、 青い目の外人が神輿をかつげずに(高さが違う)担ぎ棒に手だけ触れて歩いて行く 微笑ましい光景もある。
最近ではこの辺りでも外国人の姿がとても多くなった。

 そして昔から露天に多いのが食べ物を商う店の数で、金魚すくいや風船釣、当て 物などの店が その間に挟まっている。やきそば、たこ焼き、お好み焼き、トウモロコシ、 イカの丸焼き、五平餅、 この町と同じ町名なので協賛している北海道の町の物産展 など、など。
  飴細工、バナナのたたき売り、そしてリンゴ飴。飽食と言われるこの時代に良くも まあこんなに、 こんなものがと思ったりするが、小さな子供を連れた両親や、仲良しの 友達が揃って嬉しそうに舐めている。お祭りでしかお目に掛にかかれない物だから なのだろうか、何故か懐かしさがある。
かく云う筆者はリンゴ飴を食べた事がない。どんな味がするものやら。

 祭りばやしが聞こえてくる。スサノウのミコトがヤマタノオロチを退治する一巻だ。

(想い出落書き帖のTOPへ戻る)