ピッツア ベルガモはミラノの北東方向へローカル列車に乗って約1時間で行ける小さな町である。
ミラノ中央駅の長いホームに待っていた列車は2階建て6両連結、朝の郊外向け列車は
ガラガラに
空いていて この車両の2階席には他にイタリアの若者が数人乗っていただけで
あった。
平野を走る路線で各駅停車とは言いながら結構なスピードで走る、あるホームだけ
の辺鄙な駅では
運転手はホームに出て仲間と談笑している、時刻表で調べると予定よりも
5分ほども早く到着して
しまったので時間あわせをしているらしかった。
地形はベルガモの辺りから山にかかるらしい、鉄道駅からはバスに乗り 更に小さなケー
ブルカーで
丘の上のベルガモ・アルタに到着。ここには大聖堂、修道院を囲む中世から
ルネッサンス期に作られ
たという街並が美しい。石造りの家並みの間の露地を通り
城門を出た先でもっと小さなケーブルカー
に乗り 登った先が サン・ヴィジリオの丘。
ここは山上の小さな山城跡を囲みとても見晴らしの良い場所で豪華な別荘が点在している。
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6月の土曜日 小さな教会では結婚式が執り行われていた、堂内に入りきれない参列者も
皆新しく誕生するカップルを祝い、好奇心で眺める我々にさえ温かい視線で目配せをくれた。
こちらからも「おめでとう」とお祝い申し上げた。
この教会とケーブル駅の間にあるリストランテは12時半からの開店だというテラスの椅子を拝借
して景色を30分ほどスケッチしていた、ずい分長い牧師さんの説教も終わって新カップルは
米のシャワーを浴びながら階段を下り、教会横の広場はお祝いの一団で一杯になった。
喜びの時は良い、皆の顔も晴れ晴れとしているし、家族の喜び、孫の花嫁姿を抱きかかえる年寄りの姿など、言葉が通じなくても気持ちが通じてくる。 |
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見晴らしの良いリストランテのテラス・テーブルに陣取った我々の注文にボーイは怪訝な
顔つきだっ
たけれど、店の女主人はシェアしようと言う日本人の小さなお腹を承知してか
「どうぞ、どうぞ」と愛想
良くとりなしてくれた。その代り(?)我々は昼食だというのに生ビールに
続いて地元産のワインをタップリ
と味わった。
ベルガモ・アルタは小さいけれど見所がとても多く予定の時間を大きく越えて夕方近くまで
見学に、スケッチにとほぼ一日を過ごすことになった。
だからミラノまでの帰途は予定外のローカル列車になった、車体の半分ほど床が低くなって
いる少し
古めの車両、ホームの低いイタリアの鉄道では車両の床が低いほうが乗降に便利で
ある。発車後すぐ
列車は来た道とは違う路線を走っていることに気付いた、ユックリと渡る鉄橋
の下の景色は渓谷の
美しい景色だし列車のスピードもなんとなく遅いような気も
する、どうやら行く先が違うことに気付いた
のは暫らく経ってからのことだった。列車は朝と違う
山よりの路線を経由してミラノ・ポルタ・ガリバル
ディ駅に向っていたのである。結局、往復の
所要時間にほとんど差は無かったし、中央駅とは地下鉄
で2駅離れていただけである。
既に夕食の時間になっていたので地下鉄に4駅乗ってロレートのピッツエリアへ行くことにした。
店は小さな入口ではあったが店先には行列が出来ていた、それはテイクアウトを待つ列だった
のだが
ガイドブックに書いてあった通りの人気である。店内は飾り気も無いテーブルと椅子が並んでいて
既に
7割がたは埋まり客は皆大きなピッツアと格闘しているように見えた。
陽気な店のお兄ちゃんがやって来た、先ずは暑い一日良く歩いたね・・・とビールを注文、さてピッツア
は何にしようかと見回
したが
お兄ちゃんは数を聞くのみ・・・この店は一品の店だったのである。
ご覧のようなピッツアはマルガリータ、厚さはさしずめ日本の食パン6枚きり以上はある、タップリとトマトと
モッツアレラ・チーズを載せて店先にあった石釜で焼いたアツアツだった。
店先の列同様に店内のテーブルには入れ替わり立ち代り客は引きもきらず、二人連れ、男性
同士のグループで一杯になり、そのうちに10人ほどの大家族もやって来た。
オバアチャンに抱かれお孫ちゃんも混じっていたけれど店のメニューはマルガリータのみ
やはりピッツアの一皿が運ばれていたようだ。 |
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もの珍しそうに見回す我々ではあったが、元気な店のお兄ちゃん「カメラ!?」と云うなり皿から
はみ出し
そうなピッツアに目を丸くする我々に向けてシャッターを押してくれたのである。
きっとこの店を訪れる日本人は必ずマルガリータ・ピッツアの記念にカメラを向けるのだろう。
ボリュームはもちろん焼加減、味が申し分なかったのは言うまでも無い。
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