パスタ、シューマイ、マンドゥ、トロ

 今回は私事で恐縮だが目黒区の外れに位置し100mも行けば世田谷になってしまう 、 わが家近くの風景について書きたいと思う、お許し頂きたい。
永年転勤族として全国を転々としてきたので、生まれ育ったこの地に帰ってきたのは 約15年ほど前の事である。いまでも小学校の同級生数名が近所に住んでいる。

 いつも気持ち良く居眠りをしたまま髪を整えてもらえるのは「床屋のショーちゃん」だ。
おやじの跡を継いで二代目だけれど、最近そのおやじさんの姿そっくりになってきた。
しかし彼のほかには近所で店を継いだ同級生はいない。魚屋のコンちゃんや米屋の コスギ君など皆 近所に移り住んでしまった。
この辺りも今ではスーパーマーケットやコンビニの天下になってしまって、家から駅まで 10分くらいの間にもコンビニは 5っ、6っはあるだろう。
ショーちゃんが「都会の中の過疎地」と言うのもむべなるかなだ。

 ところが家から200m位で横切る表通り(自由通りと云う名だが)左右200mほどの間に とびとびに飲食店が並んでいる。 過疎地と言われる住宅地の真ん中だが出前なども併せて結構やっている。

 まずは 寿司やさん、もちろん場所柄からも派手な店構えではないが活きの良いチョット洒落た肴などを出す。
小生が行く時は家族の誰かと一緒だが、何故か何時も組合せ違いで家族全員にならない。
 カウンターの話題は決まってゴルフだが、最近は店のおカミさんが描く絵手紙が額に入れて飾ってあり、これが玄人はだしなので、ひとしきり作品についての談義が加わった。
 

 その隣には中華料理店がある。シューマイで有名な日本橋の店の暖簾わけで先代が ここに店を構えてもう40年は越えただろうか、今では二代目が店を建て直してやっている。
 
 少し坂を登りかけた辺りで穏やかな老夫婦二人でやっている焼肉やさんはピョンヤンの 出身とか、何時も夫婦揃っての散歩はわが家前を通りすぎる。主人の午後の日課は碁会所 通いである。キムチとマンドゥが自慢でアットホームな雰囲気と味が好ましい。
 
 この二つの店の中間の辺りにあるのが地中海料理店である。ちょっとドアを開けて入り難い 感じの店だったので今まで敬遠していたのだけれど、このところ家族の祝い事があったのでこの機会に出掛けてみた。本当に小さな店なのにシェフと給仕3人で頑張っていて、入って 見れば店構えで思っていたのとは違って誠に感じ良い、聞けばもう10年も店を構えているとの ことで、それでは 地中海の「灯台、下暗し」だったと皆で笑ってしまった。
沢山のメニューを選んでそれを皆でつついた味も満足だったが、ワインはチョット飲み過ぎて しまった。

 考えてみれば、近所には贅沢にも日、中、朝、伊と料理が揃っているではないか、すぐ手の 届く近所に満足できるものが並んでいる事が判った。

 それから何年か経った今、グルメ雑誌に出て一時活況を呈していた地中海料理店は過度の 出店が裏目に出て代替りしてしまい、奥さんが体調を崩した焼肉やさんは休業中である。
  商店会の存続すら議論されているとか…やはり都会の過疎地かもしれない。

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