おかか
 これは我が家の飼い猫「ルイ」のはなしです。
誕生日は3月5日、我が家にやってきた時はまだ大人の手のひらに載って「ミュー、ミュー」と元気な声で鳴いていた頃です。
 それにしても歓迎されてやって来た訳でもなく、知り合いから貰ってきた娘が「どうしも家で飼いたい」と言い、初めは反対でしたがそれでも泣いて頼み込むものだから、「キチンと面倒を見るなら・・・」と不承々々でも承知となり、それで彼女「ルイ」は我が家の一員となったのです 。
 

 小さい頃には一回か二回庭に降りて庭木の蔭などを逃げ回ったことがありましたが、結局 逃げ込む先は家の中、その事件以降はまったく家の中だけが彼女の世界となりました。
 時おり近所の飼い猫や、どこからかいつも巡回して来るノラ猫と縁側の網戸越に鼻をつき 合わせてもただルイは「ル、ル、ル・・・」と喉を鳴らすばかりなので、庭の猫は「ナァーンだ」 とばかりの態度でプイッと何処かへ行ってしまいます、きっとコミュニケーションが出来なかっ たのでしょう、 もしかしたらルイは猫語が出来ないのかも知れません。
 家の中で人間家族とばかりで暮らしているのですから仕方がないのかも知れませんね。

 その代りにけっこう日本語は判るのか「お留守番をしてね」と言うと その時だけの特別の 鳴き声で鳴きます、鳴くなどと言うと彼女に対して失礼でヒョットすると日本語で「行ってらっ しゃい、気をつけてね、早く帰ってきてね」などと日本語で喋っているのが私たちに良く聞 き取れないのかも 知れません。
  ともかく「上のお部屋に行こう」というと階段を先導して二階へ、「下のお部屋」ではトントン と可愛 らしいお尻を振りふり階段を下って先を行きます。
  「お座り」は無論のこと、「ドタン」と合図すれば音を立てるくらいな勢いで両手足を伸ばして 横倒しです、「お椅子にヨイショ」では椅子の上にちょこんと乗るなど、マダマダあります・・・

 食事は朝晩は魚系の缶詰、この缶詰には5色あるのですがトッピングが少し違うだけで おおむねマグロがベースのようです、しかし彼女はこの色の差が判るらしくてこれはいやだ とばかりに見向きもしない色の缶があります、仕方がないのでその缶はペット屋さんに戻し てお好みの缶と替えて もらってきた程です、後はビタミンなどのバランスを考えてドライフー ドを用意しますが、彼女は時おりのおやつにしているようです・

 鯵の干物や、マグロのトロなどは本来では猫が捕らえてきたことがない筈の物なのに猫の 大好物のようですが、ルイは違います、大きな鯵の干物などを鼻先に突きつけても戸惑った 顔をするだけで尻込みして逃げて行ってしまう のがオチ、泥棒はめったにしないのですが少し油断をするとやられてしまうのが食パンの包みです、 もっとも食パンをチギッテ与えても ホンの幾切れを食べると満足です、アンパンのパンはもっと好物のようですが・・・

 ルイは時計を持っているのではないかと感じることがあります、起居、就寝の時間や食事 時などは当然としても、おやつの時間や昼時などが近づくと何処からとも無く現れてジッと 見つめ続けるのです。
  「猫に鰹節」といいますがこればかりはルイも大好物です、「おかか欲しい?」と聞くと穴の 開く程にジッと私の顔を見つめ続けますが、ニャア、ニャアと猫の様に鳴くことはありません。

 今年満10歳、庭などに出る時は人の肩に乗せてもらうのです、左肩にね・・・

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