納豆

 日本人なら一日「大豆」に世話にならぬ日はないだろう。
醤油(Soy)は世界語だし、大豆(Soybean)はそれを造る素だ。 大豆油、豆腐、豆乳、納豆なそから、はては福を呼ぶ鬼追いの豆まで。そして、 それ等は土地柄によってそれぞれ違ったものになっている。

 たとえば豆腐だが、絹濃し、木綿濃し、和がらしを中に封じこんだ豆腐、厚揚げ、 油揚げ、凍み豆腐や高野豆腐など、このほかそれはきっと枚挙に暇ないものだ と思う。

 柔らかい絹濃し豆腐を塗りの箸で食べる(つまり、食べにくい)のが江戸では通と 言われたそうだが、京都の絹漉しと来たら、それこそ箸にも棒にも掛らないくらい に柔らかいから、 江戸っ子もさぞや困ったことだろう。

 そうとうな日本びいきで日本通の外国人でも、日本食の中で食べられないもの に挙げる筆頭は多分「納豆」ではなかろうか。
日本人でもそうかも知れないが…

  納豆といっても種類は多彩だ。関東では小粒の水戸納豆が昔から有名だが、 関西では  昔はあまり食卓にはのらなかったと聞く。それでも比叡山の麓にある 滋賀の坂本納豆などは、 比叡山の僧が大切な蛋白源として摂ったのかななどと 想像したりして面白い。
 京都の大徳寺納豆は日常お目に掛るものとは相当違っていてちょっとビックリ するが、それでも慣れると美味しい。

   納豆が結構ウイスキーのつまみに合うことを知ったのは、普段は納豆を好まない筈の大阪キタのバーでのことだった、しかもこれ結構いけるのでそれ以来わが家でも時たま晩酌のつまみに登場する。
今では何故かゴルフ帰りに常磐道のレストハウスで買って帰るなんの変哲もないカップ入りの小粒納豆が口に合うようである

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