みかん 食事時は丸いチャブ台の足を立て家族はぐるりと周りを囲んで座った、飼い猫でさえ あたかも その輪の中に自分の決められた場所がそこであるかのごとく ちょこんと座って 食卓を眺めており、皆の食事が終わって自分の食事の順番がやってくるのを待っていた。 冬はコタツも作られたけれど、食事の終わったチャブ台が足をたたまれて仕舞われた後に
あったのは丸く大きな火鉢であった。 食後の果物はみかんだった。紀州や静岡、瀬戸内からのもの、皆は火鉢に手をかざし ながら丁寧に皮をむき中袋の筋を丁寧に取ったが、ときおり 筋は炭火の上に落ちてこげて香ばしい香りを立ち昇らせたものである。 みかんも出始めの頃、緑と黄色が混ざった皮は何ともいえない未熟さと、とても新鮮な 若い味を感じさせてくれたが、師走の頃になると黄色い皮の艶も、味も程よいものになって くる。
近頃でもこの季節にはダンボールのみかん箱が我が家にもあるし、みかんの種類にも
沢山あって地球の向こうなどから、西からも東からも名前を覚えきらない位に沢山の柑橘類がやって来て年中
テーブルの上を世界中からやって来た柑橘達が賑わしてくれている。 やっぱり、正月を終わった頃になると みかんの味はひねた味になってしまうのは昔も今も、 少しも変わらないのだが・・・
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