ウォーター・メロン

  海の季節がやってきた。
夏休みに入ったビーチでは目隠しをされて子供が、まずはじめにその場で グルグルッと回されてから長い棒を頭上にかざし丸いスイカに近寄ろうとする。
棒を振り下ろしてもあまりまともに当たるものではないのだが、たまたま勘の 良い奴がいて見事に割ると、あとのスイカは無残な姿に変わり果てる。

   冷やして食べると美味しいスイカでも、長い時間炎天下の暑い砂浜の置かれ、しかもこうしてグシャグシャに割られたスイカ、昔から何度もスイカ割の機会はあったけれども、その戦果を食べた記憶が少ないのはどうしたことだろうか。

  八百屋さんの店先に山と積まれたスイカの中から、パンパンと手でたたいて みて張りのある音のするものを選ぶ。冷やすには昔は井戸端のバケツに 浮かせたり、縄で縛って井戸の中に吊り下げたりしたものだが、あの光景は スイカに良く似合う。

  最近では季節を問わずにスーパーの果物売り場や、果物屋さんの店先には いろいろなメロンが並んでいて、スイカでさえ真夏以外でもお目にかかること がある。
やはり旬が一番だろうと思うのだが、それでも、それぞれには食べ頃の見分け方 があるらしく、マスクメロンは尻が少し柔らかくなって、香りが強くなってからとか、 北から来る夕張メロンは皮が少し黄ばんでから、とか・・・だが、どれをとって みても食べ頃を教えてくれるもので、それが美味しいかどうかの保証という訳 ではなさそうである。

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