めねぎ 日比谷交差点すぐのビル最上階に陣取るこの倶楽部は海外から来た記者達の溜まり場で
ある、どういう決まりで会員資格を得られるのかは知らないが友人のK氏がメンバーであるが
彼は記者ではない。社会人になって間もない小生とは同じ職場で机を並べたことがあり、
それ以来何かと教えを受け数々のご指導も頂いた先輩である。
この日も最近楽しんで来たお互いの旅行の土産話を肴に夕食をとお誘いを受けたわけだ。
この倶楽部にお招きを受けたのはもう数度になるが、この夜は窓には銀座などのビル群がパノラマのように拡がる「寿司バー」であった
。
お堀や皇居の緑濃い森が眼下にあるいつものダイニングは反対側である。
ダイニングから見た日比谷交差点方面
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二組の夫婦は向かい合ったテーブルに席を取ったのでメニューはコースにということに
なり、先ずはビールで乾杯!互いの健康を祝した。
テーブルには突き出し風の小さな握りが三ッ載った皿、その上には
ピンク色のミョウガを
載せている一つ、こげ茶色の椎茸を載せた一つ、そして薄緑色の針のように細い草に削
り節を
一つまみ載せた一つ、聞けばとても細いそれは「めねぎ」と言うそうだ
細く可愛らしい葱、「これでは、なべには使えないね・・・」などと冗談を挟みながらひとくち、
口に広がる葱の香りは新鮮だった。
さて、K氏は夫人と共に滞在型の長期旅行で歩く、旅の目的は歩くことだと云い会う度に
健康度を増した顔でテーブルの向うにいる、今年冬にはオーストラリアへ、そして夏はイギ
リスの旅。その旅行で毎日書き込まれるK氏の旅日記をホームページで見ながら旅の様子を想像するのも楽しい。
小生たちと言えば、相変わらずの飛び歩き夫婦旅行の経過を語る。
刺身や鮎の塩焼きなどをつまみながら、冷酒の銘柄をあれこれ次々に選び杯を重ねていた
らとても良い気持ちになってきて、寿司の皿にたどり着く頃にはそうとう出来上がっていた。
冷たいデザートを頂き、話いろいろと楽しんだ会はお開きになった。
一升瓶から注がれる冷酒の徳利は相当に大きかったような気がする。
考えてみれば永年いろいろと甘えてばかりで過ごしてきたような気がするのに、この夜も
また想い出を重ねてしまった。
想い出落書き帖はK氏の下で過ごした我がサラリーマンの終章の頃に筆を起したもので、
「季節の水彩画」では再録の形でお目汚しを続けてきた、勿論 とうの昔にストックは底を
つき思いつくままの駄文は新たに書き重ねている。
K氏との交わりが想い出落書き帖の事始であることを考えると、積み重ねも長く数も増えた。
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「めねぎ」⇒「どういう字を書くの?」と店の者に聞いてみたが、「さあ・・・!?」という返事だった。
これが大きくなると青い葱になる「芽」なのかどうかは知らないが、友情の芽とも、落書き帖の芽ともかけて・・・ 健康を願い、お互いに末永くと念じたい・
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今回の「めねぎ」と題した小文は「想い出落書き帖」の百話目である
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