きゅうり

 カミさんが何かの用で家を空けて一人で晩酌と言うことだってある、つまみは柿の種とピーナッツの袋を開けただけではちょっと寂しい・・・何か適当な肴がなければ、冷蔵庫の野菜ストッカーを開けて「きゅうり」を見つける。
 これならどちらのお宅でも常備の野菜だろう、さて・・・トントントンとまな板の上でいい音を立てて薄切りにし、塩で揉んでも良いし、キャベツや青紫蘇を刻んで併せても様になる、香り程度に醤油を掛ければ立派な酒のあてにはなる。

  燗をつけて、いざ一杯!

   ところで真直ぐに大きさも揃ったきゅうりのパックをスーパーで求めてくるが、最近では高騰した石油値段の所為で、高コストを掛けてまでハウスで栽培するほど産地に余裕が次第になくなってきたとか、丸く曲がったきゅうりだって味に差があるわけではないし・・・と、店頭に並ぶようになってきているとか、それは良いことではないかと思う。
そんな異形のものならザクザクとランダムに切ってパリパリと歯応え良く、醤油でもマヨネーズ味でも、もっとも簡単な肴だ。

 「きゅうり」はせっかくの新鮮野菜と思っていたけれど、水分が大部分で一番栄養のない野菜・・・とギネス・ブックにも記録されているとか、そればかりか大切な併せ野菜のビタミンCを壊す酵素を持っているとかで・・・その効果を抑えるために酢を使うのだとか。
まあ、きゅうりだけでビタミンを採っている訳ではなし、これから暑い夏に向かって体を冷やす作用だとか、シャキシャキの涼しい食感を楽しんでいるんだ。

 最近のきゅうりはスマートになって昔のような痛いほどのトゲトゲがなかったり、へたに苦い味がなくなって、独特のきゅうりらしい青臭さがなくなっているのが寂しい。
 白い粉が吹いたようなトゲトゲきゅうりのトゲを包丁の背中でこそぎ落とし、へたの苦味を切り落として・・・苦味は切ったへたを切り口でとすり合わせると消えるんだったかな?・・・さて味噌か塩を一寸つけて丸ごとバリッと齧り付く・・・そんな昔も在ったっけ。

 付け合せにきゅうり、黄色い花をつけてもろきゅう、浅漬けのきゅうり、ピクルス、オイキムチなどきゅうりの引き立て役が・・・晩酌を引き立てる。

(2010)
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