カルメ焼き

 お椀に味噌汁を注ぐおたまの2、3回り大きめの銅かアルミで出来たオタマジャクシが あった。
近頃でも縁日の屋台で商っているから、よく見ればどんなものだったか判るのだが・・・
材料は赤ザラメが良い。

 その昔、大戦後の食糧難の配給時代にはお米の代わりに乾燥卵とかパイナップル ジュース、 ソーセージにこの赤ザラメなどが配給されたことがあったそうだ。
  が、国民皆毎日がひもじかったから、何とかしてこれらを代用食にしようと工夫したもの だそうだ。
  ・・・とんだわき道にそれてしまったが。


 さて、赤ザラメを少々おたまに入れて、チョッピリ水を加え、左手で支えて火にあぶり ながら、(昔ならさしずめ火鉢にかざしながら・・・)右手には太目のかき混ぜ棒を持って 中身の溶けるのを待つ。
グツグツと煮え始め、やがて泡がブツブツと立つ頃になるとお玉を火から降ろし、太目 の棒の先に付けた重曹を入れてグルグルっと円を急いで描く様に回すと、あら、あら、
プット膨らんだ カルメ焼きが出来上がる。

   子供心にはやはり大きめのものが欲しかったから、この最後の手 際がとても大切に思えたものだ。

 食べるとカリッと香ばしい甘味が口の中一杯に広がった。

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