海軍カレー

 小説「坂の上の雲」や「米内光政」他の歴史ものを読むと 、往時の海軍さん達は思いも かけない毎日を過ごしていたようである。
 毎日の鍛錬や演習などの厳しさはもちろん我々の想像を絶するほどのものであった に違いない、それでこそ栄光の帝国海軍である。
  しかし、驚くべきは旗艦「三笠」や「長門」の上では昼食時には、司令部の将官達が軍 楽隊の奏でる音楽を聴きながらナイフ、フォークのフルコースを摂るのが慣わしであっ たとか、当時の欧米列強の海軍艦隊を向うに回しての心意気と云えそうだ。

 話はその様な故事とは無関係に太平楽な話である。
長い間可愛がって頂いている我が中学の先生がいる、我々が大学に進学した頃先生も大学の教養学部で専門の授業を担当することになって、いわば同時期に進学したような ものである、以来何かにつけてお世話になり、長い間お付き合いを 頂いている。

 今では時折食事でもご一緒させて貰う程度になってしまったが、近間でも少し出掛け て変わったものでも食べたいとお伺いを立てながら工夫をしてきた。
今回は横須賀の先・久里浜近くに大きな公園があり、コスモス畑が見事なはずだという 提案で三浦半島の先へ向かって車を転がせた。

 なるほどよく整備された公園は半島特有の凹凸にとんだ地形を巧みに利用していて、 やヽ窪地の大きな斜面には一杯のコスモスが盛りであった。
公園の園路にはトロッコのような遊覧車が来園者を乗せて案内してくれており急坂も 景色を眺めならが楽に登ることが出来る。

 さて、終点近くの高台にはフランス料理のレストランがある、評判だと見えてかなり混み合っていたが、程なく窓際のテーブルに案内された、同行の女性達はお薦めのメニューを注文したが、師は「僕は海軍カレーに決めている」と サラッと言う、そういえばなんとなく海軍さんとカレーは結びつくなと思いながら小生も海軍カレーを注文した。

 それは特に変わったというほどの味ではないが どことなく懐かしげな味わいではあった、 明治時代からの海軍のレシピがあってそれに基づいて作っているとのこと、カレー ライスと、ミルク、サラダの三点セットと薬味にはチャツネが海軍カレーの原則だとか、 師は陸軍将校としての従軍経験もある年代だが、戦争の頃の話が出るのはホンの 時折である。

 横須賀は今でも軍都だが、平和をかみしめ丘の上から花畑越しに眺める相模の海の 、 平和よ何時までもと願いたい気持ちであった。

「くりはま花の国」ホームページ

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