朴葉みそ

 高山祭りがテレビニュースで報道されていた。
カラクリ細工物の山車が絢爛豪華なので有名な祭りだ。
小京都などと言われて飛騨の高山は観光地としても名高いから、恐らく彼の地を訪ね られた方も多かろうと思う。
  いまではJR高山線や国道が良く整備されて楽に訪ねることが出来るが、それでも道 すがら山並みをかき分け渓谷沿いを進んで行けば、何処から行っても 町の名に恥じな い高い山の向こうにある城下町である。

 蛇足ながら、この辺りが日本列島の人口重心の中心に近いそうで最近 でもやや東に 向かって動きつつもこの近辺にあるそうだ。

 さて むかし東京のど真ん中の日本橋交差点脇のビル地下に飛騨料理を出す店が あったので、勤め帰りに友人と良く立寄ったものだった。
地酒の徳利は大きめ、そして肴もいろいろ用意されていたがいまでも覚えているのは 「朴葉みそ」だけ、朴の枯葉に赤味噌を載せ、刻みネギなどを載せてあった。
素朴なもので炭火であぶって焼くのだが塩味が濃かった以外の記憶はない。

   ただ大きめの2合徳利と思っていたものが、後から聞けば3合入りだったうで、それを何本も重ねたのだから、その結果は知れたもの「鬼殺し」の地酒銘通りに帰途の電車を2、3駅乗り過ごしてしまうこと度々だった。

 厳しい冬を目前にしたこの辺りの秋の景色は「錦秋」の例えに恥じない 見事さだと思う。
杉、檜の植林の行き届いた山は緑のままだが、カラ松林は マッ黄色に染まって、まるで パイル織物の様だし、雑木林は色とりどりのはずだ。

 この秋はこの辺りの紅葉を見物に行こうと考えている。
きっと宿の食卓には「朴葉みそ」が載っている事だろう。

想い出落書き帖のTOPへ戻る