はまち刺身 紀伊山地が2004年7月にユネスコの世界遺産に登録された
。
以前に「・・・に決まったら車で案内するから」と地元の友人からお誘いを受けていた
登録が
決まり早速訪ねたかったが、今年は例年以上に台風が来襲し、台風では
大雨間違いなしの
土地柄だから 天候も見極めてと案内をお願いした。
10月初めに彼の住む隣町まで直通する新宿深夜発の長距離夜行バスに乗った、
前夜来
の雨が残っている終着のバスターミナルには友人が車で出迎えてくれて、
久し振りの再会
とお互いの健康を祝って硬い握手を交わしたのである。
友人は一昔前に兜町で共に過ごした時期がある取引所仲間だが、今では郷里で文字通り
悠々自適の毎日を送っている、
一旦ご自宅に立ち寄り朝食を頂き、雨模様なので予定の山
越えではなく海岸沿いに行くのが安全と決めていよいよ出発、紀伊半島は海岸にまで山が
迫り高速道路は
トンネルにもぐり高架を渡って続く、車外は時おり篠突く雨が襲ってくる。
高速道路が終わり紀伊田辺からは山にはいり中辺路を通り本宮へ向って国道を
進むが
外は相変わらずの強い雨、それでも途中で立ち寄る道の駅などにはヤッケ
などを纏いザック
を背負った熟年団体が休んでいる。
熊野古道を歩く人たちで、さすが世界遺産登録!と思う「雨が上がると良いですね」が挨拶
言葉、周りを取り巻く深い山々の山頂も雲の中である。
昼過ぎには目的地の熊野本宮に到着、八咫烏(やたがらす)の旗物の列が参道の両側で
出迎えてくれる、この頃雨もあがってしっとりと濡れた急な階段を上ると古式ゆかしい本殿、
お参りをする。
司馬遼太郎の短編小説「やたがらす」を思い出し黒潮族の案内をし活躍をした者がいたと
いう古代ロマンを思い出しながらしばし境内を散策した。
雨で濁った川筋は釣り好きの友人には気になるらしい、すっかり空の雲は吹き払われて
明日の天気は予約したようなものだと友人は太鼓判を押すが、その熊野川に沿って下り
新宮市内の熊野速玉神社へ、丹色の社は午後の雨上がりに一段と清々しかった。
熊野灘に面するの長い海岸は小石を敷き詰めた海岸である、押し寄せる高い波が浜に砕け
ると腹にこたえるように重々しく「ズシン」と響きをあげる。
御坊の海岸近くに住んでいたことのある友人は子供の頃には夜を通して聞こ
える波音は
凄
まじかったと思い出を語っっていた。
海がめの上がる海岸で熊野灘を眺めて、この海で獲れた魚は旨かろうというわけで夕食は
ホテルを出て街中を探すことにした。
料理屋は近くにあった、板さんがカウンターの向うにいる結構客席も大きな店構え、
まずは
刺身を選ぶ、目の前の海で獲れた「はまち刺身」が友人の注文だった、確りとした歯ごたえと
味、友人はあまり酒は飲まないビール、地酒の冷酒などをお互い好きなだけ
啜りながら幾品かの刺身や肴の食事をした。
えびの塩焼きを注文したが「冷凍ならあるのだが、今日は漁が無かったので・・・」と云う
のが
板さんの断り、隣町の熊野(三重県)から通っていると言う姉さんも明るく楽しかった。
翌日は友人の予報どおりの快晴、那智山、那智の滝は初秋の面持ち、見晴台から見る太平洋は180°以上の拡がりで「地球は丸いなァ」と思わず口をついてでる
。
そして帰路の山越えは何し負う難路、山ひだの奥にある十津川村を通り過ぎて紀伊山地を満喫し吉野山
へ、友人宅に一泊をさせてもらって翌日には高野山にもお参りすることができた。
山上の大伽藍、奥の院の幽玄には心を打たれた。
<那智の滝> |
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お世話になった友人とは再会を約し高野山上駅前で別れたが、お誘いに甘えての
3日間
のドライブ旅行、天候に恵まれて良い取材も出来た、持つべきは良い友である。
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