風呂吹き大根
 木枯らしが吹きぬける候ともなったのでお許しを頂き、行き付 けの酒処での 話題に触れたい。ちょうど目の前には熱燗と、肴には風呂吹き大根が並んで、 今、箸をつけようとした所だ。  

 ところで、この店の風呂吹き大根は飴色に煮上げたアツアツの大根の上に、 甘目の 白ゴマ味噌を載せ、ユズの香りもふくよかに、隠元豆の煮物が色添え ですこぶる旨く、 主役の大根を引き立てるゴマ味噌の役割はきわめて高い。
  そして熱燗の日本酒との相性は極めてよい。
そう云えばこの店の昼定食の秋刀魚の焼いた物はきわめて上物であるうえに、 四角い皿 からはみ出すほどの大きさだが、添えた大根おろしは欠かせない 引き立て役である。
当然近所のサラリーマンの間で評判が高いランチである。

 大根とは大変に重宝な野菜で使い道はとても広い、昨今では八百屋さんの 店先には 年柄年中並んでいる。何と、大生産地での大根の種蒔きはテープ状 の紙に一定間隔で 種を仕込んだ巻物があって、輪転がしの様に畑の畝を 転がしながら延ばして行くらしい。
しかも、畝毎に何月何日出荷用と生育期間 を考慮し初めから計画的にずらして作付けを するのだという。 閑話休題・・・

 杯を重ねつつの話題、この日東京は雪となった。聞くところによると大変に 遅い初雪 だそうである。だが気象予報の分野の当たり外れも科学がいくら発達 しても難しい様で ある。その日、東京競馬場では厳しい寒さの中でレースが 開催されており、「ケンセツ テーオー」という馬が出走したそうな。
  筆者は不幸にして競馬音痴だが、金融経済の専門家である同席の友人は 経済回復を 願っての語呂合わせで勝ち馬経歴の無い8番のこの馬に投票した そうだ。

 結果、二着になったこの馬が絡んで、何と、馬番 2-8 は 68,000円の配当だったという。 1,000円が 680.000円の勘定だから、オメデトウの一言も云おうと したら、彼 曰く、一着に なったのが2番の「なんとかロビン(こまどり)」、駒鳥は 春の鳥だ・・・春にはまだ遠いと・・・
敬遠して買わなかったんだとか・・・

 なんとも難しいものだと思いながら、ついつい杯が進んでしまった。

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