本や著者の名前はすっかり忘れてしまったのだけれど日本に来たアメリカ人の話だったと思う。
ハンバーガーやフライドチキンなどに始まったファーストフードといわれる文化はアッという間に日本全国に広まった、いや今や世界中におなじ看板が氾濫している、だから異国の旅行者には
いろいろと便利なこともある。
だが最近では便利であることが少し制約されてきたこともある、お世話になるトイレがフリーなのでついそれだけ目的で終わる客が多いのだろうか、近頃では商品を買えばレシートにトイレへの
ドアを開ける暗証番号が印刷されてあるなんて言うところもある。
これはこうした店が初めてわが国へやって来た大阪万博でのことである。 さてベンチとて空いているものは無く 皆さんシートなどを敷いて遠足もどきである、だが全国からはるばるの会場ではこれまた楽しい想い出だったに違いない。
小さなペーパーボックスをひざに載せ、手頃な縁石に腰掛けて箱を開くと中にはフライドチキン数個と小さな容器に入ったコールスロー、そしてロールパンが詰められていた、ペーパーナプキンはたくさん入っていたが、周囲はファミリーで賑やかである・・・ 現在では小さくとも高カロリーのファーストフードや飲み物がアメリカを脅かす肥満のもとになるのだとは当時考えも及ばなかったのだが、そのとき体験した味は少しも変わることなく何年後も我が口に入っていたから、冒頭のアメリカ人のようにやはりアメリカの味なのかも知れないと思ったことである。
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