焼 酎

 「チュー」単に昔はそう云った。飲み方にしても『ブドー割り』などと言ったのみ方 の他 得体の知れぬ強いアルコールとして飲まれていたらしい。
いまでは若い 人達の間でも『ウメ割り』や 『チューハイ』などが結構好まれている。先日 わが家に 若い人達が大勢来たときに用意した何本かのビンの中身が少々残っているので、 紀州の梅干を入れて『お湯割り』を楽しみながら チビチビやっている。焼酎の種類 の多さはどれ位のものか、浅学の筆者は文字通り無知である。

 鹿児島や薩摩と言えば「いも焼酎」、徳利に入れた焼酎は直火で熱した熱燗を小さな猪口で飲む。
 肴には やはり揚げたての『薩摩揚げ』が良く似合う。
 

 ハイウェイが整備されたので鹿児島だって一気に行ける、それから先の薩摩半島 は有料道路で尾根道を行けば、鹿児島から僅かの時間で先端の長崎鼻に立つ事が 出来る。綺麗な円錐形を した開聞岳を間近に見て 指宿(いぶすき)温泉での  いも焼酎の宴も良いかも知れない。

 そこからは 錦江湾の向こうに桜島を眺めつつフェリーで対岸の大隈半島へ渡ると、 ここから先はチョッピリ苦労なドライブになるが、先端の佐多岬に達することが出来る。
車を降りると、岬の 入口には小さなトンネルがあって、潜りぬけると日本本土の 最南端であり、真実はるばる 来たものだと感慨深くなること請け合いである。ここから
は視界さえ良ければ種子島が望めるだろう。
岬の先は海、奄美の島々を飛び石伝いに行けば沖縄だけれど、 そこは『泡盛』と なって、さらに強い究極の焼酎となる。

 この鄙びた大隈半島で大きな市街は鹿屋(かのや)である。風向のせいで桜島の 噴煙はこの辺りまで灰を降らせて、一面が真っ白になっていることもある。

 通りがかりではあったが『いも焼酎』を土産にしようと この町の酒屋さんに立寄った。
いや、見事なほどに焼酎の銘柄が多い。十数種類はあるだろうか、店のご主人の奨め でその中から選んだ何種類かは車のトランクの大きな部分を占めた。
ご当地の皆様には当然、銘柄のご贔屓があるだろうが、帰宅してからそれぞれを 試してみた、 筆者の舌には『いも焼酎』であることに差を見つけることは出来なかった。

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