チーズ

 オランダには夕刻着いたが東京から長い機内は疲れる、 ホテルに着くとそのまま 早く寝てしまったのでオランダでの食事はホテルの朝食がお初ということになる。
ホテルの朝食はビュフェスタイルなので特に他と変わったところも少ないのだが、 数多く並んだメニューの中から自分の皿に選んできた食品の味にはまず感心して しまった。
 素材が旨いと言ったところだがハム・ソーセージ類、野菜類、乳製品どれもが とても好ましく、 もともと朝食はたくさん摂る我が夫婦にはとても嬉しく、この先を 期待できるかなと言う感じを持ったのものである。

 ところが誰に尋ねても、どの町でもまたどのホテルでもオランダ料理というものを 薦めてはくれなかった、もともとないらしい・・・こんなに美味い素材が揃っているのに と思ったが、オランダ各地で食事をしても少しも事情は変らなかった。
我々の夕食は 中国、ギリシャ、日本、インドネシアなどの料理ということになった。

 オランダはまったく平らな土地の連続である、海面下の土地が多くモチロン段差程度 の高低はあるのだが、堤防の上を動いてゆくヨットの帆を見上げたり、 道路より高い 位置に平行して見える水路や、船に乗ると高いところから見ているように遠くまで 景色が見えるなど・・・少し奇妙な感じを受けることすらある。
  広々とした緑には牛達の群れが点在して草を食み、風も牛たちの匂いを運んでくる、 乳製品が多いわけである。訪ねた町のアルクマール、エダム、ホールンほかどこの町でもチーズ市になる広場と計量所が街の中心にあった。

 風車もいたるところにある、もっとも古典的な風車は歴史遺産の位置付けの様だけれど、近代的な風力発電機の巨大な姿が連なる光景は北西風の吹き続けるこの土地ならではの発想だろう 。
 海を大きく区切った大堤防の30kmを高速道路で走り抜けたりすると、自然を友としてきたこの国の歴史を肌で感じ取ることができたような気がしたものだ。

        オランダ・アルクマールの町のチーズ屋さんの店先

 さてオランダから隣のドイツに入ると景色は丘の連なりとなる、以前訪問した折に 描いた小生の作品が回りまわってモデルとなった家に飾られていて、今回の訪問を 機会にその家の主からディナーのご招待に預かったのである。

 
   初対面の老夫婦は環境保護に熱心な仕事は既にリタイアした土地のドイツ人だが我々が訪れると既にテーブルにはご馳走を載せた大きな皿があった。
  壁には我が作品がその街を描いた多くの絵を押しのけるように飾られてあったのも面映く、挨拶もそこそこにワインのボトルが次々とあけられるディナーとなった。

何種類のチーズが載っているのか?

 大皿は奥さんの心ずくしのデコレーションで美しく飾られ沢山の種類のチーズの 塊が並べられていた、不勉強な小生にはそのどれも名前を知らないが何種類あった ろうか、特に癖のあるというものはなく皆美味しく頂ける物ばかりだった。
  さしずめ日本ならばチーズ店を開けるかと思われるほどの量だったが、パンをかじり、 チーズを頂きながらワインの量も進んだ頃は既に夜更けとなり、大皿の上も 綺麗に平らげられていた。

 彼の地ではチーズの位置付けは我々の日常の感じとはだいぶ違って 、ずっと身近 な豊かな食品のようである。

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