茶がゆ

 あおによし奈良の「茶がゆ」は昔から名物である。
番茶を布の袋に入れて煮えている鍋の中の粥に泳がせる、だから茶色の粥が出来上がる。
 作り方にも秘伝があるのだそうだが その昔に聞いた伯母達の話をしっかり記録しておけば 良かったのにと 今では聞き直しの出来ぬことを残念に思っているの。

   炊き上がりの「茶がゆ」をそのまま食べようとすると熱くて食べられたものではない。といって冷ましておいたのでは、せっかっくのお茶の風味も飛んでしまうというものである。

 この粥は案外しゃぶしゃぶに作り、米粒は泳いでいるといった濃さなので、冷えた残りの飯を茶碗に入れて、それに熱い「茶がゆ」を注いで熱さを冷ますのである。

 ま、上品な食事とは かりにも云えないが、少しの塩加減でも何とも引きつけられる味わいがある。
 むかし、熱々の茶がゆを流し込んで食べるせいで、この地方には胃癌が多いのだなどと云われた ことがあったが、その後どう解明されたものやら?
今でも、日に一度は茶粥を食卓にと・・・

 奈良県地方では続いているようである。

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