畦豆

 緑の枝豆をつまんで旬を味わっている。

 わが国には専業農家がほとんどなくなったと聞く。以前に仕事の関係で農協(今のJA)の方とお付き合いを頂いていたことがあって、その辺りの聞きかじりだから むろん本格的な農業論の展開と言う訳には行かない。  

 「米つくりは、土つくり」といわれ、毎年の米作コンクール優勝者の談話は必ずこの話題 になるし、かつての大不作の年にも土作りに丹精を込めた強い土壌では無事に収穫が 出来たなどと言われたものだ。

 農村も核家族化や機械化が進み、田圃そのものがその耕作に適するように長方形に 区画整理する<圃場整備事業>なども進められて農村の風景も一変してしまっている。
それに平行して比較的に労働集約的作業であろう土作りがおこなわれているものやらは 知らない。
けれども、人手に頼らざるを得ない「棚田」「千枚田」や「田毎の月」などは観光資源用と しても維持ですら難しいのではないだろうか・・・などと枝豆をつまみ、ビールを飲みながら 取りとめもなく考えていた。

 枝豆は土中の窒素肥料の足しに田圃の畦(アゼ)で育てられ「畦豆」とも呼ばれている。
今では冷凍の輸入品などは年じゅう口に出来るが、旬の露地ものはやはりそれらしく香り 高くて 美味しい。
先日、山形から「ダダチャ豆」を送って頂いたが、さすがに名前が全国に通用するだけの 畦豆は ことのほか香り高く美味しくて、気がつけばビールの空き瓶がずいぶんと並んで いたっけ。

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