* * *
すでに部員が入り混じって混沌の様相を呈してきた宴会を、オレたちは何とか言いつくろって
抜け出した。もちろん三井と仙道の様子を見に行き、ついでに盛大に驚かしてやるためだ。出身県が
同じで仙道や三井のフォローを真面目にしてやっている牧はこの際ハブにした。幸いマネージャーに
つかまってこっちのことまで神経がまわらないようだ。
「どうしてるだろうな、あの二人」
諸星は走りながらオレの考えを読むように言った。寺を省略すれば、近道できる。
「そうだな、いつも通りだとむっつり黙り込んで、三井なんか緊張しまくりかもな。仙道は仙道で
顔色窺ってるってとこか?」
状況が想像できるだけに、オレたちは同時に吹き出した。
言っておくが、二人を一緒にしたのは決して興味本位ばかり、というわけではない。このままでは
チームとしてもまとまりにも関わってくるから、見るに見かねての親切だ……というのは、自分で
言っておいてどうも嘘っぽいか。
ともあれ胆だめしの最終目的地、廃校になった小学校の校舎にオレたちは着いた。そこには三井の
名札もあって、持ち主を待っている。オレたちは三井たちの前に出発したペアに早々と遭遇したのだ
が、こちらが何もしていないのに、やたら驚いたようだ。あとは帰るだけとなって気が緩んでいた
せいかもしれない。
先発組が校舎を出て順路通り来た道とは反対方向に進むのを確認してオレたちは理科室に向かおうと
したが、先刻のことを思い出して入り口を入ってすぐのところで待機することにした。
「……何でだろう、夜の学校って怖いよな、大学はそんなこと感じたことないんだけど」
「いつでも人がいるからな」
声をひそめて諸星が言うのに、オレは答えた。
オレは超常現象というやつはあまり信じていない。だが、現代科学で何もかも説明できるとは
思わないし、見えないから逆に怖い、ということはあるかもしれないと思う。
校舎内には照明こそなかったものの、窓からは月明かりが差し込んで、ところどころおぼろに
内部の様子が浮かび上がる。廊下を真ん中にして両側に教室の並んでいる造りで、理科室は奥の方に
あった。諸星が話をでっちあげた宿直室はその横だった。
「そういや、おまえの話、よくできてたな」
「ああ、あれか。村の人に聞いた実話なんだが」
言ってにやりとする。オレも笑ってやった。
「じゃ、教えてくれよ、話の二人は何を見たんだ、窓からよ」
「言ってもいいのか?」
「もったいぶるなよ」
「そうだな、飲み会でつぶれた先輩を寮まで担いで送ってく学生だったってのはどうだ?」
オレは一瞬その光景を思い浮かべ、身につまされた。
「……そりゃ怖えな」
思わず言ってしまったが、諸星のやつは大げさにため息をつく振りをした。
「あーあ、おまえを相手にしてるとどうも現実主義になっていけないな」
「あいにくだが、お互い様だろ」
オレたちはにやりとした。静まり返った廃校で声をひそめてそんなやりとりをしていたのだが、
やがて寺へと通じる道からかすかに人の近づく音が聞こえてきた。
「よっしゃ、本番だ」
オレたちは月明かりが照らし出していない暗がりへと移動した。この時間、この場所に足を向ける
物好きは住民にはいないが、万が一のために耳をすませて様子を窺うと、最初に何とものどかな笑い
声が聞こえてきた。
「笑ってるぜ」
オレたちは顔を見合わせた。そして今度は窓から外を見ると、闇に慣れた目に二つの人影が映った。
一人の特徴的な髪から、問題の二人であることを確認する。
「……すっかり打ち解けてるじゃねえか」
別に打ち解けて悪いわけではないが、正直拍子抜けした。
こっちの胸の内など少しも知らぬげに和気藹々とやってきた三井と仙道の二人は、校舎の前まで来る
と足を止めた。
『げっ、こんなとこに入ってくのかよ』
三井の声が悲鳴を上げた。
『大丈夫ですよ』
これは仙道の声。こんなときも全くいつもと変わりのないのんびりとした口調だ。
『オレがついてますから。……墓地のときみたいに目を瞑っていてもいいんですよ。オレにつかまって
れば見えなくても歩けるでしょ?』
ああ?
何か変だ、と思って諸星の方を見ると、やつもオレの方を見ていた。外の会話はこっちの困惑とは
無関係に続いていく。
『……呆れてんだろ……』
『そんなことないですよ』
『いや、ぜってーそうだ。……でもしようがねえだろ、オレ苦手なんだよ、暗いとことか、墓地とか
よ……学校だって誰もいねえと、すっげえ怖えじゃねえか……だいたいこんな夜中に来るとこじゃ
ねえんだよ』
最後の方は鼻にかかった泣き言で、反射的に「かわいい」などと思ってしまう。仙道も同じだった
ようで、それを素直に言葉に出して殴られていた。それでもちっともへこたれず、あいつは三井を
誘った。
『とにかく一緒に行きましょう。……それとも、ここで待っててもらえます?』
『う……』
仙道の言ったことを三井は考えてみたらしい。呻いたあとにあっさり答えを返した。
『……やっぱ一緒に行ってやる』
とことん高飛車なやつだ。
『じゃ、早いとこやっつけちゃいましょう』
二人は勢いをつけてオレたちの潜んでいる下駄箱脇を通り過ぎた。
『オレ、くじの神様に感謝しなきゃ。こうして二人きりにさせてくれたんですから』
『けっ、バカ抜かすんじゃねーよ』
三井の悪態にはほんの少しではあったが甘さが含まれている。
『だって、大学が一緒になっても二人でいられる時間は思ったほど増えないし、寂しくて』
『だーっ、だから恥ずかしいこと抜かすんじゃねえって!』
並んで歩く、その外側の方の手で、三井は仙道の頭をぽかりとやった。
そしてオレは内側の手の秘密を目撃してしまったのだった。三井の手を仙道がしっかり握っていた
のだ。仙道はともかく、あの三井がそれを許すとは、よほどのことだ。
目の錯覚ではないことをすぐにも諸星に確認したかったが、当の二人がそれほど離れていない場所で
はそうもいかなかった。暗がりで息を殺し、二人の背中が闇の中に消えてからやっと、身をひそめて
いた暗がりから外に転がり出て息をついた。
「うひゃーっ、肝冷やしたぜ」
「何なんだ、あいつら。すっかり出来上がってんじゃないか」
「じゃ、何か、三井のアレも盛大な照れ隠しかよ」
「照れ隠しって言うより、芝居だろ。全然親しくなんかありません……って。かえって不自然なのに
な」
同時に盛大なため息をついた。
「……ま、そこが三井のカワイイとこだろ」
「へーへー」
諸星の言葉にいい加減な返事をしたが、全く同感だった。
「出来の悪い弟を持った気分ってとこかな?」
続けてあいつの言った言葉には同意できなかった。
「……それはちょっと違うぞ」
「そうか?」
「まあな」
実際に出来の悪い弟持ちのオレが言うのだ、間違いない。
ともあれ、あれもこれも、いままで疑問に思っていたこと全てにすっきりと説明のつく光景だった。
バスケで息が合っていたことも互いの力量の問題だけではなかったし、偶然や奇跡の産物でも
なかったのだ。
オレとしてはどうも理解できない関係だが、一般常識にかなうこじつけよりむしろ、三井と仙道は
恋人同士と考えた方が何もかも自然なように見えた。
「そりゃ、何となく普通じゃない、とは思ってたし、あのままいってりゃ遅からず気づいただろう
けど」
「体育会系にゃモーホーが多いってことは聞いたこたああるけどよ、まさか自分のまわりで、って
思うよな。常識人間のオレには、ホント、ついてけない世界だもんなあ」
「ははは」
諸星は何だか困ったように笑ったが、その後で少しばかり真顔になった。
「だからって、オレたちのつきあいに変わりはないよな」
「なーに言ってんだ。あったりめーだろ」
オレは力を込めて言った。
「たかが彼氏持ちだからって、三井みたいな面白いおもちゃ、手放せるかよ。こりゃ、びっくりした
分楽しませてもらわないと」
「……おまえを見てると、つくづくものはいいようだと思うよ」
苦笑混じりの言葉が返ってくる。
「じゃあ、おまえはどうするつもりなんだよ」
「うーん」
諸星は天を睨んだが、不意に思いついたように続けた。
「どっちにしろ、早いとこ、ずらかろうぜ。戻ってきた二人と鉢合わせすると面倒だろ?」
「合点だ」
月明かりだけに照らされた夜道を、オレたちはできるだけ足音を立てないように歩き始めた。
校舎を幾分離れてから、やっと駆け足になる。意識しないうちに息も止めていたのに気づき、急に
笑いがこみ上げてきた。諸星も同じだったようで、二人で大笑いしながら寮にたどり着いた。
少し後に問題の二人は帰ってきたが、オレたちの中座は誰にも見とがめられていなかったので、
こともなく済んだ。
夏の合宿は、とんだおまけをつけて終わったのだった。
* * *
さて、それから後も大して事情の変わることはなかった。
オレとしては、自分に累が及ばなければ別にホモの友人がいようがどうでもいいことだった。
三井と仙道のことは、諸星と相談してとりあえず牧には知らせないことにした。あの変に真面目な
やつがこんなことを知ったら、きっと二人とのつきあい方を考えすぎて十二指腸潰瘍でも作って
しまうに違いない。それに、このままでいれば、よほど鈍感でない限り二人の仲に気づくだろう。
自然に気がつけば、それはそのときのことだ。
それでもオレたちは、四人プラス光岡で集まるというと決まって仙道にも声をかけた。仙道は
喜んでついてきたし、最初のうち三井は無駄な抵抗をしていたが、冬に入るころにはその状態に
慣れて、ときどきぼろを出すようになっていた。もっとも三井本人は全く気づいていないだろうが。
そうして一年も暮れようとしていた。
* * *
「今年もご苦労さまでした!」
内輪の忘年会は、六人の中でいちばんの実力者、光岡が乾杯の音頭をとって始まった。六人という
のは、言わずとしれた、オレたち二年生四人と仙道、光岡の面々だ。例によって駅前の居酒屋に
集まっている。
バスケ部の忘年会では多少よそいきの感じになるのが、この六人だと普段着感覚でつきあえて、
酒がそれほど入らなくてもテンションが上がる。盛り上がるネタといえばたいていバスケのことなの
が空しいぐらいだ。
「そういえば仙道くん」
光岡が思いついたように言う。
「わたし、いままで仙道くんのこと観客席からしか知らなかったんだけど、こうして知り合ったら
思ってたのと全然違う感じなんで、ちょっと意外だったな」
「……はあ」
光岡の前で仙道が頭をかく。その隣りで三井がにやにや笑いながら言った。
「おい、光岡、どう違ってたんだ?」
「どうって、そうねえ……すっごくかっこよくて近寄りがたいかな、と思ってたのよね。ほら、
神奈川ではスターでしょ。でも実際は何ていうのか……」
「かっこよくなかったですか?」
仙道は苦笑気味に言った。光岡は慌てて手を振った。
「やだ、そんなつもりじゃなかったのよ。ただ、想像よりのんびりした性格で、とっつきがいいな、
と思っただけ」
「天然ボケっつーんだよ、そういうの」
三井は上機嫌で突っ込んでいる。光岡は少し考えて続けた。
「うーん、確かにね。ちょっと頼りないトコあるわよね。すごい方向音痴だし、時間におおらかって
言えば聞こえはいいけど……彼女、苦労してると思うわあ」
その瞬間三井の肩がびくんと大きく反応したのをオレは見逃さなかった。反対に仙道は飄々として
いた。
「やだなあ、知花先輩、オレには彼女なんていないっすよ」
「あれ? じゃ、この間一緒だった子は? ほら、偶然学食で会ったときの」
光岡がそう言ったとき、三井の体が固まり、一瞬アルコールっ気も吹っ飛んだような顔になった。
なんだ、三井のやつ、妬いてんのか?
他人の前どころか、あの胆だめしのときの様子からすると二人きりのときでも甘いムードなんぞ
ちっとも望めなさそうな三井だが、人並みに恋愛感情は持っているらしい。本当にひねくれ者だが、
わかりやすいやつだ。
「あれはただのクラスメートっすよ。……一緒にいるだけで彼女だと思われるなんて、ちょっと
心外だなあ。オレってそんなに遊んでるわけじゃないんですよ」
殊勝に言ってみせるが、顔は笑っている。しかし光岡の追及は続いた。
「本当? あんなにファンがいてずいぶん可愛いコにもアプローチされてるじゃない。それでも断り
続けてるから、素敵な彼女がいるんだろうって噂なのに」
「いや、でも彼女はね」
光岡の攻めに仙道は余裕で答えている。その答えの微妙さを、牧や光岡はわかっているだろうか。
三井は二人の話の展開に気が気でないようで、少し前までのおもしろ半分のつっこみを忘れたように、
ずっと残っていた突き出しをつついている。文字通りつついているだけで口に運んでいないのが
おかしい。仙道は続けた。
「……彼女はいないけど、好きな人ならいますから……って言えばいいですか?」
「えーっ、じゃ、片想いなの? ねえ、誰、誰? わたしの知ってる人?」
俄然興味が湧いたというように光岡は身を乗り出した。
それはそうだろう。もてるやつの多いバスケ部の中でも、仙道はかなり注目を浴びている。
その気になればよりどりみどりなのに一途に想いを貫いているとあれば、関心も惹かれようという
ものだ。だが、その先は心の平安のために聞かない方がいいと思う。
「うーんと、そうですね」
仙道はもったいぶった調子で言って、ちらと三井の方を見た。三井は仙道のことなどまったく目に
入っていないようで、小鉢をつつく手も止まってしまっている。心臓のばくばくいう音が耳にまで
届いてきそうだ。きっと叫び出したい心境なのだろうが、なけなしの理性を総動員して耐えているに
違いない。オレはスリルたっぷりのサスペンス映画でも観ているような気分で様子を見ていた。
そのときだった。
誰かが短く叫び、何かが倒れた。見ればそこには倒れたコップが転がり、ビールの海が広がって
いた。オレの斜め前にいた牧は呆然とそれを見ている。いちはやく反応したのは、さすがは女で、
光岡だった。
「すみません、台布巾貸して下さい」
言われた店員はすぐに戻ってきて、テーブルの上は片づいた。別に食器が壊れることはなかったし、
こぼれたビールがテーブルの下に滴って誰かの服や畳を汚すこともなかった。
「牧、おまえ、いきなりまっすぐ手をのばすんだもんな」
その瞬間を見ていた諸星がため息をつきながら言った。
「すまん。全然気がつかなかったよ」
「珍しいよね、牧くんがこんな失敗」
「ちょっとまわってきたのかな?」
牧は笑ってもう一度謝り、それからおもむろにNBAの話題を振ってきた。バスケが好きと
いうことにかけては人後に落ちない面々のため、話は一気にその方へ流れた。そのまま忘年会は
いい気分でお開きになり、サスペンス映画の結末を見損なったことにオレが気づいたのは、二次会を
パスして光岡が帰っていったときだった。
* * *
さて、いくら事実が衝撃的なことであろうと、密につきあっている仲間内のことであれば、
ずっと隠しごとをしておくのは難しい。まして一人だけが知らない、という状況はどこか不自然で、
オレたちは光岡がいない花見の席で牧にすべてを明らかにすることにした。
もっとも三井の警戒心はだいぶ弛んでいて、かまをかければ簡単にひっかかってくるので、
その様子を目や耳にして牧は半ば気づいているのかもしれないと思ったこともあった。ただ、
牧の場合、肝心なところでけっこう鈍感なところがあるので、何とも言えなかった。
だが、結果は意外なものだった。なんのことはない、互いにだまし合っていたわけだ。牧に
すっかりしてやられるとは、もしかしてオレもいつの間にか神奈川組のペースに乗せられてると
いうことだろうか。いやいや、そんなことはないと思いたい。
牧のやつは「オレの苦労も知らないで」とため息をついてくれたが、そいつはオレたちも同様だ。
しかし、あの二人のあの様子、特に三井の態度の妙な振幅を考えれば、何かあると思うのは当然
だろう。文句があるなら三井本人に言ってもらいたいものだ。
三井に人徳などという言葉はまったくといっていいほど似合わないが、結局あいつに振り回されて
も八つ当たりされても、誰も文句なんか言えないのだ。本当に得な人生だと思う。
いや、実際「帝王・牧」には世話をやかせるし、割とドライな諸星にも気を遣わせる。
オレだって、面白半分だが目を離せない。仙道のやつは一コ下だが、三井の保護者の役割を演じて
いるのではないだろうか。本人の知らないうちに周囲を動かしてしまう力は、ひょっとしたら才能の
一種かもしれない。そしてオレたちはこんなところで膝をつきあわせている。
「そりゃ老けるわな、おまえも」
つくづく牧の不運を思って言うと、牧は苦笑気味に口角を上げた。
「あいにくだが、老けてるのは子どものころからだ」
「やめろよ、想像するからさ」
諸星はそう言って笑い転げた。たぶん半ズボン姿でランドセルを背負う牧の姿でも思い浮かべて
笑いのツボにはまってしまったのだろう。しばらくして笑いが収まると鳩首会談となった。
「で、これからどうするつもりだ?」
牧は真顔で聞いてきた。オレとしてはいままでと態度を変えるつもりはない。諸星だってそう
だろう。
「だから、殺さねえ程度につっついてだな……」
「またおまえはそんな過激なことを……」
諸星がときどき思い出し笑いに震えながら言った。
「そうだよな、それしかないと思うんだ。オレに告白したときだって、弾みみたいなもんだったし、
あいつにとって仙道とのことをほかに知られていないってことが、唯一のよりどころって感じだから
な」
牧はくそ真面目に言う。だからオレは続けた。
「……でもって、我らがおもちゃ三井くんと仙道くんの永遠の愛情を陰ながら見守って……」
「……センパイと仙道……?」
オレたち三年生だけで盛り上がっていたところに、眠っていたはずの一年生の声がした。驚いた
のを隠しておそるおそる振り返ると、流川がそばにちょこんと座っていた。
「……センパイたちの笑い声で目…覚めた……」
「おまえ、話聞いてたのか?」
牧が慌てて尋ねるとこくんと頷いた。
「オレが起きたとき、諸星センパイ、まだ笑ってた」
「あちゃー……」
諸星は天を仰いだ。
「三井センパイと仙道がつきあってるってホント……?」
まだ半分寝ているようだが、聞いたことはすっかりインプットされたようだ。何か釈然としないと
いったような表情をしている。
もしかして、こいつがこの大学を選んだ訳というのは、留学だけが決め手じゃなかったのか?
オレは直観的にそう思った。
……だとしたら、これからがますます面白くなる。
三井の卒業まで流川が留学しない可能性……オレはそれに五万点賭けてもいいかと思った。