核燃の情報公開の実態
「地層処分研究開発と考え方と進め方」開示を巡る
1年4ヶ月の顛末
「理事会議議事録には一部修正の上決定」
とあったが「見つからなかった」
そこで作成しなかったかのごとく装った
開示請求文書:「地層処分研究開発と考え方と進め方」
(請求者は兼松)
<1年4ヶ月の経過>
・開示請求(2002.10.8)→不開示決定(2002.11.6)
・1回目異議申立(2003.11. 20 )→不存在決定を取消、
(案)を開示決定(2002.12.26)
・2回異議申立(2003.2.25 )→(案)開示決定取消、
請求文書開示決定(2003.4.24)
・開示後も不明朗な公開経過解明のために2回質問状を提出。
2回目回答は2004 年1月19日。
・情報公開クリアリングハウス室長 三木由希子氏の支援を得る。
・2003年8月6日 総務省 行政管理局情報公開推進室に質問書を提出。
・2004年2月16日 総務省 行政管理局情報公開推進室 森 一美氏同席、
東京の核燃インフォメーションルームで核燃と話し合い。
<文書の位置づけ>
東濃地科学センターの地層科学研究の指針となる文書。
1989年、東濃に地下研究所をつくる計画を記した文書。
◆核燃はなぜ開示請求文書を不存在とし、作成しなかったかのごとく装ったか
核燃は2004年1月19日、「不開示決定通知書を発信時に、『地層処分研究開発の考え方と進め方(案)』はありましたが、理事会議議事録には一部分修正のうえ決定との記載があ」ったと回答した。
◆兼松が考えたシナリオ
・最初から請求文書が存在することは知っていた。
→しかも、その文書は理事会議議事録に記載されていた。
→ところがその文書が見つからなかった。
→そこで不存在とした。
→なぜなら理事会議議事録にある文書をなくしてしまったとは言えない。
→そこで「動燃事業団として取りまとめなかったとの意見がありました」
とまで理由に付け加えて、請求文書が存在しないかのごとく装い、
異議申立を阻止しようとした。
◆違法性:開示請求に対し正当な調査をしなかった
開示請求前に、文書の存在や公開の有無を質問していた。質問時に探しても見つからなかったので、開示請求時も、場所を限定した調査しかしなかった。法律に則って請求権を行使しているにも関わらず、まともな調査をしなかった。
そのために見つからなかった。正当に調査していたら、タマタマ請求日と同じ日に文書登録されていたので請求文書が見つかっていたはず。
◆(案)を不当に開示した根拠「『てにをは』レベルの違い」は、嘘!
核燃:「理事会議議事録で一部修正の上決定」とあり、再度理事会議に付議していないので、修正は「てにをは」レベルのものだ。決定版と大差ない。(案)の公開は正当だったと強弁。
しかし請求文書と(案)は「てにをは」レベルの違いではない。なぜなら東濃地科学センターで行う予定の事業の一つが、理事会議で削除された。
ところが、核燃は不開示決定を出すとき、「理事会議議事録で一部修正の上決定」を知っていた。だから大した違いはないはずだと勝手に判断した。
核燃は何を削除し、何を追加したかを確認しても公表できないだろう。なぜなら公表すると不当に開示した事実を浮かび上がらせる結果になるからだ。
◆
話し合いで判明した事実。
請求者の意見とは全く異なった報告
核燃:異議申立に対し(案)を公開することを請求者に確認したら請求者・兼松は(案)で良い旨回答したと、東濃地科学センターから報告を受けた。だから公開した。
これは全く事実に反する。でっち上げである。東濃地科学センターから『電話で』(案)を開示することについて問い合わせがあった。
しかし兼松は以下の理由で(案)は請求文書でないと拒否した。
1.請求した文書ではない。請求以外の文書を開示する請求者とって不利益で
ある。
2.(案)があれば、決定文書があるはず。
3.(案)が必要なら改めて開示請求する。
開示請求文書の解釈という重要なことを、電話で済ませ、請求者に文書によ
る確認もしなかった。文書で確認しなかったからこそでっち上げが可能だっ
た。核燃はこのような運用を平気で行っていた。
<おまけ>
1.見つからなかったのは、忙しい時期に請求した請求者のせいだ。
動燃から核燃に改組され文書保管場所の移動があり、さらに情報公開法に
対応するために文書整理を行っていた、こうした「文書管理が煩雑化した
状況下の時期に本件開示請求が重な」った。
核燃:きちんと経過を説明するための記述だと強弁。
しかし1998年10月に動燃から核燃に改組された。開示請求時は4年後であ
る。
情報公開法施行のための準備期間もあった。にも関わらず文書整理が対
応できなかったのであれば不手際を率直に認めるしかない。それをせずに
「文書管理が煩雑化した状況下の時期に本件開示請求が重な」ったと記し
たのは、整理できなかった自らの責任ではなく、“こんな時期に請求してくる
者が悪い”との身勝手な意識の現れである。
総務省の森氏はあきれ果てて笑うしかなった。
2.動燃技法の引用者も文書タイルや策定日を間違えていた。
動燃技法No.75 で「中部事業所においては、平成元年9月26日事業団によって策定れた『地層処分研究開発の考え方と進め方』に基づき、地層科学研究を進めている」と引用したが、正しくは「平成元年9月28日」に策定された、「地層処分研究開発の考え方と進め方について」である。
東濃地科学センターの事業の指針となる文書のタイトルも日付もいい加減に扱われている。筆者は現在超深地層研究所の重要なポストにある。
◆このような集団が処分研究中間推進機関である。調査の信頼性を疑わざるを
得ない。
◆自らの違法に対し、抜け目なく再発防止策を公表したので、総務省からの
処分を逃れた。
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