浦和絵本大学(公開講座)

 

 2003年より浦和諸聖徒教会(麗和幼稚園)にて絵本大学が開催されています。

 絵本とは何か、子どもたちにとってなぜ絵本が大切なのか、絵本と子どもの成長はどうかかわっているのか、おとなは子どものために、どういう絵本を選び、どう読んでやったらいいのか、世界の代表的な絵本50冊を、参加者と共に楽しみながら、具体的に考えていく場所です。また、スマホ・タブレット・ユーチューブなど、今、子どもたちに襲い掛かっているメディアに関しても、絵本や昔話や物語を味わいながら、なぜそれが危険なのか、ご一緒に考えていきます。



 お問い合わせ先
 048-822-4594(麗和幼稚園)



             


麗和幼稚園 2024年度 絵本大学




―お誘いと年間スケジュール

 

 コロナウィルスの猛威は少しおさまった気配ですが、スマホとタブレットとユーチューブはますます子どもたちに襲い掛かってきています。子どもたちは、今、子どもの時間を生きているのだろうか? 私たちおとなに、子どもたちを守る術はあるのだろうか? 鋭く激しい問いが私たちに投げかけられています。

絵本大学は、今年も開催いたします。その問いに答えるために、その問いに真正面から向き合うために! 殊に幼児期は瞬く間に飛び去ってしまいます。絵本について学びながら、子どもと子どもの成長について、ご一緒に考えましょう!

絵本大学は今年で22年目を迎えます。子どもの本に関わる様々な方々、子育て中のお母さん、一般の市民、図書館員、家庭文庫の方などと、世界と日本の代表的な絵本を楽しみ、絵本の深さと広がりを味わいながら、子どもたちのことを考えてきました。講師は今年も、児童文学者で、麗和幼稚園の園長の斎藤惇夫がつとめます。昨年「子どもの本の普及につくした」とのことで、市の図書館から表彰されました。時に、思いがけない方を講師にお招きすることもあるかもしれません。乞うご期待!

 

 

『人が生涯本好きになるかどうかは、絵本の中で味わった楽しみの量による』

『幼い頃に読んでもらった絵本の量と質が、生涯の読書の方向を決める』

『三代続いたものでないと絵本とは言えない』

『メディアの嵐から子どもを守るのは親に読んでもらう絵本』

『毎日15分以上読んでやらなくてはならない』

『10歳までは親に読んでもらうことを読書と言う』

 

など、絵本や子どもの本の読み聞かせについて説いた言葉は、たいがいの人が知っています。どの言葉も正しいのですが、いざ我が子のために絵本を選ぼうとすると、絵も文章も物語もひどいものを買ったり借りてきたり(書店も、図書館も、この手の絵本の洪水なのです!)、また、少し字が読めるようになると「自分で読みなさい」と読書の自立を急がせるあまり、結局は、子どもを本離れ、活字離れにしてしまうことがよくあります。

 別に我が子が絵本を好きにならなくともかまわない。などと悠長に言ってもいられません。メディアは、子どもたちの心と頭を壊そうとしています。実体験がないままに、子どもたちを長時間家に閉じ込め、スマホやタブレットやユーチューブの世界に子どもたちを追い込んできました。今ほど、子どもたちが、安心して、元気に、普通に成長していくことが難しくなっている時代はないのです!

この『絵本大学』では、『絵本とは一体何か』『なぜ絵本には子どもを元気に育てる力があるのか』『どういう絵本が子どもたちを育てるのか』をご一緒に考えながら、子どもたちが抱えている問題を見つめ、解決の糸口を探っていきたいと考えています。そのために、

1)ともかく、世界と日本の絵本の傑作中の傑作をご一緒に味わってみます。

2)様々なジャンルの絵本をひもときます。詩の絵本、昔話の絵本、リアリズムの絵   

本、ファンタジーの絵本など。

(3)三代にわたって子どもたちが愛し守りぬいてきた絵本の形式と内容を、挿絵と言葉と物語の構造から考えていきます。

(4)絵本の歴史を少しのぞきながら、絵本がなぜ、絵や彫刻や文学や音楽と同じように、芸術の一つであると言われるのか、それを考えます。

(5)その上で、なぜ幼い子どもたちの成長に絵本が必要なのか、さらに、次の読書に導く力になるのか、それを考えます。

 

要するに、芸術の中でもひときわ美しい絵本をご一緒に楽しみながら、具体的に、子どもたちにとって何故絵本がなくてはならないものであり、その絵本とはどういう質を持っていなくてはならないのかを、ご一緒に考えていこうとしているのです。

 もしも、絵本選びと読み聞かせに失敗さえしなかったならば、絵本は子どもたちの将来の読書の方向を決めていく鍵になるばかりでなく、子どもの心を守る砦になり、成長を促す力になっていきます! そして世界をより良い方向に変えていく源にもなるのです。

 楽しい豊かな学びの会です。絵本を愛する方、あるいはこれから絵本について学びたいと思っていらっしゃる方ならばどなたでも、お気軽にご参加ください。お待ちしています。

 

開催場所  諸聖徒教会の礼拝堂(麗和幼稚園に隣接しています)

時間    10時から11時半  参加費はいりません

持ち物     靴を入れる袋

1年間のスケジュール

5月  7日(火) 絵本入門 子どもたちを本の世界に導くために 資料は配布します。 

6月   4日(火) 昔話の絵本について 持参いただきたい絵本は前回の終了時に示します。 

7月  2日(火) リアリズムの絵本           〃

9月  10日(火) ファンタジーの絵本          〃

10月  1日(火) 近代絵本の始まり           〃

11月  5日(火) 「行って帰る」物語          〃

12月  3日(火) みんなで詩を楽しみましょう! 各自お好きな詩を2編ご用意下さい。

 1月 14日(火) 薮内正幸さんの仕事 持参いただきたい絵本は前回の終了時に示します。          

2月 18日(火) 石井桃子さんと瀬田貞二さんの仕事   〃

 

沢山の皆さまのご参加をお待ちしています。  2024年4月10日 斎藤惇夫

       

       


講師紹介  斎藤惇夫(さいとう あつお・現園長)

 新潟市生まれ。長年、福音館書店の編集責任者として子どもの本の編集にたずさわり2000年より作家活動に専念する。
1970
年『グリックの冒険』(岩波書店)児童文学者協会新人賞『冒険者たち』(岩波書店)国際アンデルセン特別優良賞『ガンバとカワウソの冒険』(岩波書店)野間児童文芸賞 を受賞。その他『現在(いま)、子どもたちが求めているもの~子どもの成長と物語~』(キッズメイト)。