二見喜章 殿
           05.07.26 太陽光発電普及協会東京支部  高橋元広

太陽光発電について意見を申し上げます

「カネ食い虫といわれる太陽光発電の現状」(正論7月号の二見氏の記事)を見ました。 私たち(=普及協会メンバー)は、二見氏の今回記事とは大きく異なる見解で、太陽光発電を認識しておりますので、その意見をここに記述します。ご一読お願いします。

太陽光発電は、設備が設置され、電力会社の配電線に系統連系され、稼働を始めると、その後のメンテナンスや稼働の手間は「ほとんどゼロ」で、動きます。正常の日照条件下の太陽光発電システムは、1050kwh/年・kw発電します。この10年間の私たちの発電実績感覚では、太陽電池の劣化(=能力低下)は全く感じられません。
 太陽光発電の現時点(2004年末)の設置コストは63万円/kw(税込み)と見込むことが出来ます。仮に設置補助金が10万円/kw交付されると仮定すると、kw単価は53万円/kwとなるので、個人家庭が標準3kwシステムを設置すると、個人負担金は159万円となります。設置補助金ゼロのときは個人負担金は189万円となります。 エネ庁の太陽光発電コストの計算式は、「3kwシステム280万円(税込み)・金利4%・稼働年数20年・効率12%・1051kwh/年kwの発電・燃料費と運転維持費はゼロ」という条件で算出しており、そのときは62円/kwhになると発表しています。電力10社の市販電力コストは23円30銭/kwhなので、3倍近く高値であり、太陽光発電は高くてダメという評価をしています。我々はこの計算式で、いくつか実態と異なる数値があるので、そこを修正して何通りかのケースでコスト算定し、発表してほしいと要望しているが、ここ3〜4年何の修正発表もない。
我々が想定する条件で、エネ庁計算式で再計算すると、次のような結果が出てくる。
3kwシステム189万円(税込み)としたとき(他条件は同じとする)
1)金利2%で稼働年数30年のとき:26円73銭/kwh
2)金利1%で稼働年数30年のとき:23円19銭/kwh
3)金利0%で稼働年数30年のとき:19円98銭/kwh(自己資金のとき)
即ち、太陽光発電コストは、かなり市場電力単価に近いことが予測される。ここで自己資金を投じて30年も先行する人は極めて少ない、又金利1%で太陽光発電に融資してくれる金融機関はゼロに近いという現実がある。(今後、郵貯会社の膨大な資金に期待したい) 太陽電池会社で製品保証20年が最長(外国事例)であり、30年の会社はどこにもないが、かってのサンシャイン計画の実験品で25年程度のものは正常能力を発揮しているので、30年実稼働は充分期待可能な年数である。
2003年度まで86万kwの設備が設置されたと発表されているが、閣議決定目標値は2010年度で482万kwであり、これにはまだまだ及ばない情勢にある。

「太陽光発電の特徴」というエネ庁資料は長所と短所を下記のように記述している。
長所:二酸化炭素の排出がないクリーンな電力(地球環境保全)
   資源制約のない国産エネルギー
   市場拡大の潜在性の高い産業分野
   エネルギー・環境問題に対する意識の高揚に資する身近なエネルギー
   電力需要ピークカットへの貢献
   災害時の非常用電源としての有効性
   需要地と近接して設置が可能で送電線によるエネルギー損失が少ない
短所:発電効率が低い(10〜15%)(火力発電は一般的に約35〜40%)
   日照の影響により出力が不安定
   日照条件の良い立地地点には限界有
   高コスト(現在、発電コストが家庭用電気料金の3倍程度)

 ここで短所と指摘された事項をよくみていきたい。「発電効率(現時点12%)が低い」という指摘は、発電機の所の効率比較であって、電力網に入るまでの全体像比較を全く考慮していない近視眼的な判断である。火力発電(石油・石炭・ガス)は膨大なルートをたどって且つ膨大な手間暇をかけ、膨大な投資金額を使って、かつ膨大な環境破壊を引き起こしつつ、最終消費者に電力を配電(供給)している。探鉱(権利金支払い)・採鉱設備投資と採鉱(ストック)・運搬輸送設備の投資と運搬輸送(ストック)・消費地受け入れ設備投資とストック(備蓄)・発電所への運搬(液化ガスは特に2回も厄介プロセスあり)・発電設備投資と発電(稼働管理とメンテ)・送電線設備投資と送電(管理とメンテ)・配電設備投資と配電(稼働管理とメンテ)・消費者とそのルートは極めて長い。
 太陽光発電は一回だけの設備投資と光エネルギー発電・消費者(配電網ほぼ10%以下使用・稼働メンテほぼゼロ)と理想的なルートである。太陽光発電は昼間時間帯だけに発電する設備なので、その実効的な稼働時間を8時間/日とすると実質効率は
12%*3倍=36%と見なし得る設備なのである。「日照の影響により出力が不安定」という評価も局所的な見方である。夜が明けて明るくなり始め、明るさがあるレベル以上になると太陽光発電は発電開始する。雨や曇りでも10%〜60%の発電をする。
明るさが陰り、あるレベル以下になると発電停止する。昼間時間帯にのみ発電し、夜間はゼロ、朝方・夕方は微量発電という極めて基本的な定性発電特性を示す。年間を通し各月の発電量は大きく見てほぼ一定という結果が個人発電所段階で必ず確認できる。
これが消費地(各建物の屋根屋根)の地域広がりで見ると、全体として地域の日照条件にリンクして(且つ分散型電源の配置密度に連関して)発電予測が可能なのである。
突然太陽が顔を出し、また突然隠れるのでコントロール出来ないという事を聞くが
100ボルト±7ボルトの範囲で充分に対応出来るのではないかと推測している。(技術対応可能ということ) 「日照条件の良い立地地点には限界有り」これはもう殆ど事実ではないといえる。太陽光発電の設置可能な屋根は無数にある。(全国2500万件が対象か)86万kwという2003年設置規模は、交通機関に乗って屋根を見渡しても殆ど発見ゼロのレベルである。10倍の860万kwになってもポチポチ散見出来るかどうかというレベルである。100倍の8600万kwでやっとどこでも見られるという程度ではあるまいか。日本国内を大きな目で見ると日照を利用出来る場所は無尽蔵に近いといえる。まだまだ未利用スペースがある段階で、限界有りはおかしい。太陽光発電の設置場所については、近い将来「最も規制緩和の必要な課題」になると思われる。
「高コスト」(約3倍)は疑わしい事を家庭用電気料金について、先に触れた。

 我々は経産省・エネ庁は電力会社と歩調を合わせ、太陽光発電と風力発電を程ほどに扱っているのではないかと推測している。原子力発電の国策方針とその膨大な設備投資とそして近々の将来に迫っている放射性物質の後処理・廃棄物処理をどうするかという問題で、抜き差しならない事態になり、更に原子力発電に傾注しなければならないという悪循環・ジレンマに陥り始めていると想像している。我々の基本的な考えは現状の原子力発電を現状量(原子炉数)にとどめ、これ以上増やさないというものである。昼夜一貫して一定の発電運転をする原子力発電をベース(40%程のベース量か)に、昼間時間帯の発電量のかなりの比率を太陽光発電で賄っていくというのが「太陽光発電のあるべき姿・理想」と位置づけて考えています。太陽光発電は電力会社に多大の経営的利益をもたらすと見ております。電力会社は地域独占会社であり、我が国の全国民のため、電力会社は太陽光発電と風力発電を全力をもって積極的に取り込んで行くべきと考えています。自然エネルギー取り込みにより、電力会社に負担が発生するときは、当然のことながら、国が何らかの形で費用を集め、その全額以上を補填していくべきと考えます。

ここで最も重要なことは、太陽光発電の本当の姿・本当の実力をよくよく見極める事であります。電力小売り自由化や原子力発電一本の姿勢は、偏りすぎた行政姿勢と思います。時代の趨勢と今後あるべき姿を熟慮すれば、バランスのある電力行政は可能と思います。
                                   以上

6−7.二見喜章殿 太陽光発電について意見を申し上げます(05.7.26)