「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」を独占禁止法違反で提訴します



公正取引委員会 公正取引委員長殿

   平成19年9月28日 太陽光発電普及協会東京支部 高橋元廣

              東京都小金井市前原町3−33−2(042-381-0976             

(太陽光発電普及協会 会長 井口正俊 代理)

「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する

特別措置法(RPS法)」を独占禁止法違反で提訴します

 新エネ特措法(RPS法)は、施行細則(エネ庁部長名による留意事項)を伴って、平成15年4月に施工され、既に4年6ヶ月が経過した。新エネ特措法の法律本文は立派な内容であるが、ただ一つの欠点は、ゴミ発電を新エネルギーの定義に加えたことである。この4年6ヶ月の間、施行細則の「不完全さ・未成熟さ・常識はずれ」の内容の故に、多くの異常事態が発生している。

 大局的な問題、独禁法違反と見られる問題、電力会社の横暴的な問題、所轄官庁の細則の欠陥・不完全さの問題などである。この提訴状では、まず これら諸問題を大小取り混ぜて、項目的に列挙し内容を説明したい。次いで、その中から、本訴状の本題である「独禁法に違反する項目」を指摘したい。

 公取委においては、これら項目を十分に調査し、適正な判断・指摘・指導を行って頂きたい。早急なる対応をお願い致します。

RPS法施行に伴い発生した諸問題:

1)RPS法は、法律の目的(新エネルギーの更なる普及を図る)を全く果たしていない。むしろ抑圧的・縮小的に作用している。特に風力発電は大きく伸びを押さえ込まれている。太陽光発電も全く伸びず、2010年482万kwの閣議決定目標値も空文化している。このため、地球環境にとって貴重な年数を大きく浪費させる結果となっている。(大局的な問題)

2)太陽光発電では「電力会社が購入した電力の代金を全く支払いしてない」という異常事態が発生し・継続している。(3年〜4年、2件、総額248万円)これはRPS法で導入された設備認定代行申請という制度に、太陽光発電設置者が同意しない事により発生したものである。電力会社による代行申請の強要であり、代行に同意なければ購入価格を25円から4円に下げると脅し、その結果不払い状態が発生した。独禁法に違反する内容である。エネ庁はこの事態を放置しており、不作為の責任が問われる。

3)RPS法細則に規定された「設備認定申請」は、個人太陽光発電所の所有者も申請出来るとなっているが、実際は全く出来ない。細則に反する実態があり、これが「電力会社の不払い」につながっている。(小さな実態問題)

4)「設備認定申請」には、電力会社による「設備認定代行申請」という制度があり、実際はこの代行申請が100%のルートとなっている。電力会社にのみ独占的に手続きができる形になっている。

5)細則で、新エネルギーの名称とその内訳を定義している。そして価格上限を設定している。 次のようになる。 「新エネルギー等電気」=「電気(燃料費相当分)」+「新エネルギー等電気相当量(環境価値相当分)」であり、「新エネルギー等電気」の価格上限は11円/kwhとすると記している。(燃料費相当分は石油・石炭・ガスの化石燃料費相当分とのこと) この価格表現と価格要素は「世間常識に全く通用しない独善的もの・極めて矛盾に満ちたもの」である。
世間に通用する唯一の表現が「新エネルギー等電気」の価格と、「電気(燃料費相当分)」の価格という二点だけである。そして「新エネルギー等電気」の価格を上限値11円/kwhと細則で決めている。この価格上限値を法律で導入し、規制しようという行為自体があまりにも異常であり、その非常識さには全く驚かされる。燃料費は上下に大きく変動するものであり、固定化(上限値で規制など)などできないが、この燃料費相当分も、1kwhあたり4円と決めている。残りの7円が環境価値相当分と説明されている。これら数値には何ら理論的・経済的根拠はない。


新エネルギー等電気の価格と要素は、常識的に見て次のようになる。
「新エネルギー等電気の価格」=「燃料費」+「設備償却費」+「維持管理費(人件費、諸経費、税金)」+「環境価値費」+「利益」 (注:環境価値費は温暖化ガス削減に伴う排出権価格が主要素となる) 新エネルギー等電気の価格は、少なくとも市場価格(=電力会社が市場に供給している価格)を下限値として設定するのが常識である。(下限値とする理由は、電力会社はいわゆる発電コストの他に、基本料金という名目で、多額の費用を全消費者から徴収しているからである。)RPS法の価格の決め方・価格の内容は、このように一方的に独占電力会社有利に、しかも世間には全く通用しない非常識な形で決められている。ここが最も独禁法に違反している。

6)新エネルギーの売先は地域独占の電力会社であり、他に売先はない。この厳然たる状況を背景にしながら、電力会社は「新エネルギーの購入価格」を、自社に有利な形で、極めて低価格で、買い叩いて購入している。経産省・エネ庁は、この状況を公然と容認している。社会常識・経済的な社会正義は全くない。この価格条件・購入条件は強者が一方的に仕切って弱者を苦しめている図であり、最も独禁法に違反しているところである。(不当な購入価格)

7)RPS法の価格要素「新エネルギー等電気相当量(環境価値相当分)」は重要な位置付けにあるが、これの説明が極めて不十分である。環境価値は「温暖化ガス削減に伴う排出権価格」がその具体的な価格裏付けになると見られるが、この価格は常に変動する。一般的には、いわゆる電気代(電力会社のkwh単価)と環境価値(kwhあたりの単価)は別々に計算して扱うことは可能とされている。このように扱いうる環境価値を、RPS法は不明確に扱っている。その典型的な状況は、電力受給契約書(太陽光発電の場合)の中で、環境価値は電力会社に帰属するという一文を入れ、それにより電力会社が自動的に自社所有としていることが挙げられる。環境価値は本来「太陽光発電者に帰属するものである」ことは誰の目にも明らかである。ここも独禁法違反である。

8)RPS法による電力受給契約を導入するに当たって、電力会社は従来締結していた電力受給契約書を一方的に破棄し、新たな契約書締結を強要した。(太陽光発電の場合)(発電者に帰属する環境価値も同時に電力会社に召し上げられた事は前述した) これは独占による横暴的取り決めである。従来締結していた電力受給契約書では、売電価格と買電価格を等価で扱うとされているが、RPS法後の契約書では、この条項は不安定な形(変更ありうる)となっている。電力会社が一方的に「余剰電力購入価格表の単価」を変更すれば、RPS法施行以前の電力受給契約者も、すべてそれに従う体制にさせられたことになる。最も基本となる価格条項が、電力会社の恣意性に委ねられる形となった。
電力会社の一方的な契約更改がまかり通った。(契約書の一方的破棄)

9)RPS法の電力会社購入義務量が電力会社の一存だけで決められている。即ち義務者が自分の義務量を自分勝手に・都合の良いように決めている。この決め方は異常である。政治家(=国民)と官僚が指導的に決めるべきである。地域独占の電力会社が、独占力を背景に自分勝手に決め、RPS法を骨抜きにしている。電力会社の罰則は可能な限り緩和して、努力だけを要請する形にした方がよい。義務量を極めて低く設定したことにより、本来の自然エネルギーである風力発電や太陽光発電は、その義務量が極めて少量となり、電力会社は風力発電と太陽光発電を購入する必要がないという形になった。事実 電力会社は義務量を達成していることを理由に、風力発電の購入を拒否・制限している。太陽光発電についても、この傾向を理由に購入制限と購入価格の見直しが囁かれている。

10)自然エネルギー発電を育成してきた「余剰電力購入制度(電力会社の自主的な制度)」は、RPS法を契機に見直され、その中で風力発電の価格は極めて低価格に仕切られている。太陽光発電については、特例として暫定継続の形で、売買電等価が守られているにすぎない。RPS法では、新エネルギーの価格保証は全くない。即ち「新エネルギー供給者」を守る価格保証(下限値保証)はゼロである。価格決定権は、独占電力会社に完全に握られている。公平な第三者による価格決定の仕組みが必要である。 現状の価格決定の仕組みは完全に独禁法違反の状況である。

11)ゴミ発電を新エネルギーに組み込んだ措置には大きな疑問が残る。
新エネルギーに分類せず、通常の火力発電として扱い、自治体経営の発電所として、適正な価格で地域独占の電力会社に買い取らせる方が、適切な措置と思われる。ゴミ発電の燃料成分の中に、バイオ発電に相当する植物成分(自然生成物)がどの程度入っているかを推定し、それによって再生可能エネルギー比率を割り出し、新エネルギー量を算定するというやり方を行っているが、不安定で不確定な方法である。ゴミ発電量を本来の自然エネルギーと別枠管理して、義務量から除外カウントすべきである。自然エネルギー発電量だけで、他の海外諸国と同じレベルで、目標設定(義務量設定)すべきである。(大きな問題)

RPS法の独禁法違反と思われる問題点

次の問題項が独禁法違反の疑いがある。

2)電力会社の電気代不払い問題(〜4年間、248万円)

3)設備認定申請が個人発電者では全く出来ないという問題

4)設備認定申請が、電力会社による代行申請でしか出来ないという問題

5)RPS法で定めた新エネルギー価格が、価格要素、価格定義、価格規制、価格運用(決め方、強制適用)等で、極めて常識外れでずさんなものであるという問題(独禁法違反の大問題)

6)電力会社による新エネルギーの不当な低価格での購入問題(価格の強要)

7)電力会社による環境価値の一方的召し上げの問題(独占的に取り上げ)

8)RPS法施行前の電力受給契約書の電力会社による一方的破棄の問題(RPS法施工前契約者の利益・権利を侵害する恐れのある独占的行為)

9)RPS法の義務量設定と見直しの方法が異常(義務者の電力会社による独断的目標設定、独占力の行使)

10)新エネルギーの価格決定の仕組みが、電力会社に一方的に握られている。
価格決定の仕組み見直しが必要(価格決定方法が独禁法違反の恐れあり)

 上述の9項目が独禁法に違反していると、我々普及協会は考えております。

この9項目について、公正取引委員会の充分な調査と審議・検討をお願い申し上げます。

                               以上