Macintosh

Macintoshを使うようになったのは、仕事でよりも家でのほうが少し早かったように記憶している。Macintosh Color Classicだった。発売されたのが1993年2月とのことだから、私が買ったのはそれから3ヵ月後の1993年5月ということになる。日本橋の電気店で大枚20万円出し買い、ハンドキャリーして家に持って帰った。

スペックは当時としてもそれほど高くはない。68030の16MHz、4MB mem、80MB HDD、512×384 pixcelの256色、1.44MBのFDD一基付きだから、むしろしょぼい。それでもMacintoshのオーナーになったということで、とてもご機嫌だった。スタイルは1号機や名機といわれたSE30などと同様の一体型(雰囲気は違うが)で、なにより漢字Talk7.1搭載というのが話題のマシンだった。それ以前はMacintoshで日本語環境を整えようとすると、何だかんだソフト(大抵はフリーだが)を入れないといけなかったが、日本語入力ソフト「ことえり」も入ったちゃんとした日本語OSがMacintoshにも入ったわけで、これで何でもMacintoshでできるぞ、という雰囲気が(その筋の人の間では)漂っていた。

実際、漢字変換は遅かったし、Osakaフォントはお世辞にもCoolとは言えなかったけれど、Windowsなんかはまだ3.1の“チャチャ~ン”という音を鳴らしていた時代だったから、洗練されたGUIに日々感動していた。といっても当時はすでにNeXT Cubeが販売されていて(1988年には発売されていたみたい)、会社にも1台あったから、ちゃんとしたGUIに触ったことが無いというわけではなかった。でも自分だけのコンピュータとして好き勝手に触れるというのは、やはり格別のものがあるのだ。

Color Classicというのは未だにマニアの間で根強い人気がある。私はColor Classic IIのマザーボードを買って、自家製CCIIに仕立て上げたが、LCのボード(LC575のとか)を入れていた人なんかは普通だし、中には改造してPowerPC機にした人など、世の中にはすごいマニアがいたりする。中古機市場ではなかなかの人気のようだ。私が買ったものは今部屋の隅に追いやられてしまっているが。

その頃既にAppleは迷走しており、ジョブズを追い出したり、一度追い出したジョブズを引き戻したり、iMacの大ヒットまでは退潮の一途をたどるのだが、そんなことには関係なく、その後も私はMacintoshユーザでありつづけた。業務上Windowsを使わざるを得なくなってもそれは続いていた。


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