2001年4月10日


  Kanon   ブランド名   key



■概要

  keyブランドでの処女作。前作(笑)ONEの流れを継承した泣きゲー。…身も蓋もありませんが…
  好評だったONEのスタッフがそのまま流れたブランドだけに発売前から評判も高く、実際の完成度も前評価
  の高さに恥じない金字塔的な名作です。

  あらすじ…両親の仕事の都合で、7年ぶりに訪れる叔母の家へ居候することになった主人公は、環境の変化に
  戸惑いながらも、従兄弟の少女や偶然再会した顔見知りの少女達との騒がしい日々にゆっくりと馴染んでいく。
  失われた7年前の冬の記憶に、かすかな不安を抱きながら…
  

■システム(6点)

  これまた典型的なビジュアルノベル。後発でありながら、システム面ではやや不満の残る作り。
  テキストスキップこそ有るものの、文章の読み返しがないのは痛い減点材料。又、キーボードからの操作が
  出来ないのも不便。セーブ数は24。まぁ妥当なラインではないかと。
  ちなみに、悪名高いONEの地雷選択肢は今作にはありません。難易度は低いです。攻略可能キャラは5人
  (+1)。CGモード有り、音楽鑑賞有り、回想モード無し。たぶん出来てもしませんが(笑)


■シナリオ(10点)

  泣きゲーと題した通り、各キャラ毎にもの悲しく、せつないストーリーが展開していきます。
  と言っても、前半部は軽快なノリで進行していき、こちらの方も非常に楽しめる作りになっていますが。
  婦女子の頭部をがつんがつん殴打するバイオレンスな主人公の生き様に、憧憬の念さえ抱く事請け合いで
  すよ(嘘)。
  
  各キャラクター事に用意されたシナリオは、ボリュームが有りながらも中だるみさせず、プレイヤーを
  引き込む高い表現力と読み易さを両立しています。
  で、肝心のシナリオ内容ですが、正に涙なくしては語れないと言った出来。
  ひねた見方をするなら、「泣かせよう」と言う製作者側の意図が鼻に付かなくも無いですが、少なくとも
  プレイ中はそれどころではないですね。素直に楽しんだ者勝ちといった所でしょうか。
  明確な方向性を持った最高レベルのシナリオ。文句無く10点です。


■CG(9点)

  CGのクオリティーは非常に高いです。背景等の描き込みも美しく、丁寧に作られている事が覗えますね。
  キャラクターデザインに関しては、初めて見る時に抵抗を感じる方が少なくないのではないでしょうか。
  独特の雰囲気を持つ樋上いたる氏の絵柄ですが、ゲームを始めればすぐに馴染みます。
  と言うより、ゲームを終了する頃にはこの絵柄以外は不可!とさえ思えてきますよ(笑)
  因みにCGの項目で語る内容かどうか判別付きかねますが、Hシーンは期待してはいけません。ええ。


■音楽(10点)

  10点満点の当レビューですが、あげられる物なら11点でも12点でもってのが本音ですね。
  素晴らしい出来。まさに文句の付け様もありません。
  シーン毎にかかる透明感のある音楽は、舞台の”冬”を強く印象付ける説得力を持っています。
  又、クライマックスなどで流れる音楽は、シナリオと五分の催涙率(なんて表現だか…)を誇るのでは
  ないでしょうか。
  OP、EDでかかる歌も非常にいい出来ですね。特に初回限定版に同梱されたアレンジCDでは、
  フルコーラスで収録されています。絶品。


■総評(9点)

  シナリオ、CG、音楽と、どれも非常に高レベル。ビジュアルノベルとしては最高級の出来です。
  ただ、システム面にやや不満が残るのと、後発故に新鮮味に欠けてしまうのが1点減点の理由。
  純粋に「楽しんだか」の評価なら10点ですけどね。あくまでも相対的な減点です。
  
  お気に入りのキャラは名雪。断固として名雪。ええ、これだけは譲れません。
  シナリオ的には作中1、2を争うアレでナニぶりですが、キャラの完成度は最高です。
  初回限定版同梱のCDジャケットのメイド名雪は悶絶モノです。
  いや、シナリオもKanonの中ではって話しですけどね…比較的甘ったるい系(笑)




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