あわず12月感想

強いって苦しい(TT)(BY十月)


「好きだったんだ」

彼は言った。

「彼等の事が大好きだったんだ。
あったかい所も。
楽しい所も。
笑っていたかけがえのない笑顔の全てを、
僕はとても大切に思っていた。

――――最初は『彼女』の為だった。
何もかもなくして、一番大切なものすら守れなくて。
たった独り残った僕にできたことは、
『彼女』がそうしたように人を守る事だけだった。

僕の中の『彼女』が、いつでも笑っていられるように。

――――だけど

いつからだったろう。
『彼女』の為じゃなく、人を守るようになったのは。
追い立てられるような義務感からじゃなく、ただ純粋に
彼等の笑顔を守りたいと思ったのは。

――――僕は、人が――――みんなが好きになっていたんだ。

だから、
『彼等』の事を、僕は大切に思っていた。
大きな街で、たくさんの人がいて。
みんな笑っていて。
僕を受け入れて包んでくれた。
暖かくて、優しくて。
僕は『彼等』が大好きだった」


「『彼等』はどうしたの?」
そう問い掛けた私に、彼は酷く辛そうな表情で静かに目を伏せた。
「『彼等』はもういない――――どこにも」
「どうして?」
彼は言った。掠れた声でたった一言。


「僕が殺した」




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