レアアース

レアアース
 レアアースは希土類元素の17種類(Sc21スカンジウム、Y39イットリウム、ランタノイド57~71(La57ランタン、Ce58セリウム、Pr59プラセオジム、Nd60ネオジム、Pm61プロメチウム、Sm62サマリウム、Eu63ユーロピウム、Gd64ガドリニウム、Tb65テルビウム、Dy66ジスプロシウム、Ho67ホルミウム、Er68エルビウム、Tm69ツリウム、Yb70イッテルビウム、Lu71ルテチウム))のことです。
 レアメタルは希少金属のことです。


①Sc21スカンジウム
 やわらかな銀白色の金属で、点火すると燃え、水にはゆっくりと溶けて水素が発生します。ヨウ化スカンジウムは水銀灯の光源に加えると高輝度、長寿命となり、アルミニウムスカンジウム合金は溶接しやすくなる上強度が増すとのことです。

②Y39イットリウム
 スウェーデンのイッテルビー村で1787年に発見され、1794年に化学者が分析した結果村の名前からイットリア石と名付けたそうです。赤色蛍光体の素材としてLEDに利用されているほかアルミニウムとの酸化物が固体レーザーの素子や磁気ヘッドとしても利用されているようです。また、二次電池の極材や医薬品のタミフルの合成触媒としても使われているようです。

ランタノイドLa57~Lu71
③La57ランタン
 1840年にスイスの化学者によって発見されました。酸化ランタンは屈折率が高いため天体望遠鏡やカメラレンズなどに使用されています。LED、蛍光体として使用される他、ニッケルランタン合金は水素吸蔵合金としても使用されています。

④Ce58セリウム
 レアアースの中では最も産出量が多く、酸化セリウムは紫外線を良く吸収するため、サングラスやUVカット化粧品の他、白色LEDにも利用されて、硝子研磨剤としても使用されているようです。

⑤Pr59プラセオジム
 酸化プラセオジムは青色の光を吸収する特性から溶接用ゴーグルに使用される他、光ファイバーの光増幅器としても利用されているようです。

⑥Nd60ネオジム
 セラミックコンデンサ、レーザー発振器などで利用されているようです。有名なのはネオジム磁石で70%の鉄と30%のネオジム少量のホウ素で構成される最も強力な磁石です。1984年まで最強とされたサマリウムコバルト磁石の1.5倍の磁力だそうです。その他、良く飛ぶゴルフボールやリレンザの合成触媒としても使用されているようです。

⑦Pm61プロメチウム
 アルファ線によって青白く光る性質から夜光塗料として利用されていましたが、放射線に懸念が示され今はあまり使用されていないようです。蛍光灯のグロー放電管の放電を迅速にするためなどに利用されています。

Sm62サマリウム
 サマリウムコバルト磁石は最強のネオジム磁石には強度で及びませんが770℃まで磁性を保てるため、まだ高温用途などで利用されています。排ガス吸着触媒などに利用されています。

⑨Eu63ユーロピウム
 半導体、発光ダイオードの蛍光体などに利用されています。ユウロピウムが赤、セリウムが青、テルビウムが緑に使用されているようです。

⑩Gd64ガドリニウム
 中性子を吸収する能力が高いため原子炉の制御材として利用されています。また磁場をかけると熱を出し、磁場を解くと熱を吸収するため磁気冷蔵庫として利用されています。

⑪Tb65テルビウム
 ブラウン管、蛍光体で緑の担当です、LED、蛍光体などに使用されているほか、鉄とコバルトの合金は光磁気ディスクなどの磁性体に利用されています。

⑫Dy66ジスプロシウム
 光磁気ディスク、磁石の耐熱性向上、伸縮合金などに利用されています。
蓄光性の夜光塗料としてルミノーバが1993年に発売されました。10分間太陽光にあてると10時間以上光り続けるため、非常口のマークとして利用されています。
 ネオジム磁石は自動車などの用途では発熱による磁力の低下が問題で、耐熱性向上のためジスプロシウムが添加されていました。ただし、ジスプロシウムは中国に偏在するため、輸出規制などの供給不安があり平成28年にダイドー電子などがジスプロシウムを用いない高耐熱磁石を開発しました。ちなみにJAMSTECが南鳥島近海で中国の鉱床よりも数十倍の濃度の鉱床を見つけたようです。

⑬Ho67ホルミウム
 レーザーの熱量が少なくなるため、YAGレーザーなどの添加剤として利用されています。

⑭Er68エルビウム
 YAGレーザー、光ファイバーでは光増幅器などに利用されています。

⑮Tm69ツリウム
 光ファイバーの増幅器などに利用され、エルビウムより大きな増幅率があるようです。熱ルミネセンス線量計として放射線調査などで使用されているようです。

⑯Yb70イッテルビウム
 プロジェクター用光学レンズ、電池極板、コンデンサーなどに利用されています。

⑰Lu71ルテチウム
 研究用などで利用されていますが、精製が大変なため1gで16000円程度と大変高額です。