SS方式

@SS方式:Spread Spectrum(スペクトル拡散方式)
 情報を伝送するのに必要な無線区間の帯域幅に比べ、数倍以上の帯域幅に拡散変調して、干渉や妨害耐性を改善させた無線通信方式です。代表的な方式では、SS-DS(直接拡散方式)、SS-FH(周波数ホッピング方式)、タイムチャープ方式や複合方式の他、アナログFM方式の基幹マイクロ回線や衛星通信回線で用いられていた、デビエーションを大きくしてスレッショルドポイントをC/N6dB程度まで改善する方式など多様な方式があります。
 
ASS-DS:Spread Spectrum Direct Sequence(直接拡散方式)
 最近はDSSSと呼称されるようです。データ伝送符号に数倍のチップレートの拡散符号を乗算することによって拡散する方式で、無線LAN初期のIEEE802.11bや、第3世代携帯電話のW-CDMAやcdma2000などで使用されていた。周波数が同じでも異なる拡散符号の信号を分離できるため、符号分割多重方式や符号分割多元接続方式などとも云われていましたが、DS方式は遠近問題があるため、端末の電力を一元的に制御できる携帯電話では問題ありませんでしたが、無線LANなどでは遠近問題による干渉が問題となり、IEEE802.11aや11gではMIMOなども使えるOFDM方式に移行し高速通信を実現しているようです。ちなみに携帯電話では異なる経路のマルチパスを合成するRake受信方式が採用され、従来の無線機では妨害源となるマルチパスが有効に活用できる方式でしたが、携帯電話も第4世代のLTEではSC-FDMA方式になりました。 

BSS-FH:Spread Spectrum Frequency Hoppinng(周波数ホッピング方式)
 当初は、データ伝送符号を複数の周波数にホッピングする方式などがありましたが、ブルートゥースなどではパケット毎にホッピングする方式として普及しました。最近はFHSSと呼称されるようです。

CSS-FM方式:Single Sideband FM(SSB-FM多重方式)
 スペクトル拡散とは全く異なり、基幹マイクロ回線などで電話音声などを周波数分割のアナログ多重化する方式で、電話回線がPCMデジタル化された現在では使用されていません。電話の場合300Hz〜3kHzの音声信号をSSB変調し4kHz間隔で周波数軸上に配置したベースバンド信号を、無線区間でFM変調して伝送する方式です。ちなみに平成27年でも電波法関係審査基準などではこの用語が用いられているようです。

DSS-PM方式:Single Sideband PM(SSB-PM多重方式)
  ベースバンド多重化はCと同じですが、無線区間でPM変調して伝送する方式です。

ESS-SS方式:Single Sideband SSB(SSB-SSB多重方式)
  ベースバンド多重化はCと同じですが、無線区間でSSB変調して伝送する方式です。


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