有機EL(OLED)

@ 有機ELの呼称
 国内では、有機EL(Organic Electro Luminescence)と呼称されていますが、海外では有機発光ダイオードOLED(Organic Light Emitting Diode)と呼称されています。OLEDは、発光ダイオードの一種で、発光材料に有機化合物を用い、有機エレクトロルミネッセンスと呼ばれる現象を応用したものです。ちなみにJDIの関連会社で有機ELを開発している会社もJOLEDという名称のようです。

A 有機ELと無機ELの違い(電源電圧/材料など)
 有機ELがDC5V〜DC10Vの直流電圧で発光するのに対し、無機ELはAC50V〜AC200Vの交流電圧が必要です。なお、発光体にジアミン類などを使うものを有機EL、硫化亜鉛などを使うものを無機ELというようです。

B 有機ELと液晶(LCD)
 有機EL(OLED)は電子輸送層、発光層、正孔輸送層を層状に重ねあわせた構造になっており、両端から電圧をかけると発光層内で電子と正孔が結合し、そのエネルギーが発光物質を励起させ発光するためバックライトが不要で、有機ELは液晶などに比べ薄型軽量で低消費電力、高速応答、高コントラストなどの特徴があるようです。
 一方、液晶(LCD:Liquid Crystal Display)は、自分で発光せず、偏光板の間の液晶が電界により光を通過させたり、遮ったりすることを使うためバックライトが必要です。バックライトとして、以前は冷陰極蛍光灯が使用されていましたが、最近はLEDです。なお、透過型の液晶ではバックライトはいりません。

C RGBWとRGB方式
 (a)LG電子(韓国)はTV用の有機ELパネルに注力しており、LG電子以外に、パナソニックやSONYへパネル供給をしているようです。ちなみにLG電子の有機ELは、白色の有機ELの上にRGB(赤緑青)のフィルタを用いており、さらに、フィルタを用いて暗くなる分(2色/3色以上のロス)をW(白)を用いて明るさをカバーするという、RGBW方式を採用しているようです。このRGBW方式はRGBを個別に高精度で塗り分ける必要がない分、大型パネルの生産が簡単になり生産歩留まりが改善し、市場投入が可能になったようです。しかしながら、白色発光層を作るのに真空蒸着方式を採用しているため、更なる大型化は、一層の投資が必要なようです。
 (b)サムスン電子(韓国)はスマホ用の小型有機ELパネルに注力しており、高精度なマスクを使用してRGBを真空蒸着で塗り分けているようです。しかしながら、高精度マスクの大型化は困難で、LGが先行するTV用の実現が困難なようです。
 (c)JOLEDが開発した方式は、印刷方式でRGBを塗り分ける方式ですが、大気中で発光層を生成できるため低価格化が実現できるようです。SONYとパナソニックの有機EL技術が開花したのでしょうか。JOLEDの前身のSONYは発光効率や寿命に問題がある青のみ蒸着方式とし、赤と緑は印刷方式としていたようで、同じく前身のパナソニックは赤緑青とも印刷方式だったようです。

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