ピアノ教材閻魔帳  その75

取り上げる教材 <こどものバイエルにあわせたピアノ曲集> 2  森本琢郎/内藤雅子共著 デプロ

 デプロとはいかなる意味なのかさっぱり分からぬが、最近楽譜屋でちょくちょく見かける名前である。ということで一冊取り上げてみることにした。

曲名 作曲者 難易度 評価
くるみと小びと オランダ民謡   3  C
朝のいずみ フランス民謡   3  C
青いラベンダー イギリス民謡   4  C
マズルカ シュメル   4  B
ふしぎはかせの大はつめい ドイツ曲   3  A
あわてんぼうの歌 外国曲   4  B
アルマンド ドイツ曲   3  C
フランスのうた フランス曲   3  C
いとまきの歌 デンマーク民謡   4  B
ひいらぎかざろう 賛美歌   4  B
まほうのすず モーツアルト   4  B
動物園へ行こう バックストン   4  A
月のまわりをまわろうよ イギリス民謡   3 D(B)
おもいでのアルバム 本多鐵磨   4  C
水車 ドイツ曲   4  C
春の朝の歌 フランス曲   3  C
かねが鳴る フランス民謡   3  B
ワルツ ブレスラウアー   3  B
ポリウォリ・ドゥ・ドル アメリカ民謡   4  B
こげよマイケル 黒人霊歌   4  B
ミッキー・マウス・マーチ ドッド   4  A
風のワルツ ワルトトイフェル   4  B
コスモス 外国曲   4  C
おどりつづけましょう フランス民謡   3  B
オーストリア風のワルツ オーストリア曲   4  C
はだかの王様 一宮道子   4  B
かわいいミュゼット フランス曲   3  B
スペインのおどり 外国曲   3  B
ドナ・ドナ セクンダ   4  B
大きな古時計 ワーク   4  B
あ、かわいい フランス曲   3  A
アルザスのおどり フランス民謡   3  A

○くるみと小びと 最初の左手のアーティキュレーションに迷うが、全部つないでも、二音ずつでも良いのだろう。

○朝のいずみ 2段目からの左手はスタカート気味が良いと思う。

○青いラベンダー 右ページ2段1小節目最初の右手5はもちろん1のミスプリ。

○マズルカ 閻魔帳47の「ばら」。たぶん「マズルカ」の方が元々の題名だろう。

○ふしぎはかせの大はつめい 左手はノンレガートだと思う。3段2小節目の右手のGの連続は、指に迷うところ。555か543か何とも言えない。

○あわてんぼうの歌 右ページ3小節目右手の1は首をひねる、2か3。2段目の31の連続は不可、214231423です。なおここまでが8分音符の練習とある。バイエル47番までに合わしてあるのだが、その段階での併用はおそらく無理だろう。6〜70番くらいでしょうかね。

○フランスのうた 易しいが7度がある。

○いとまきの歌 8度ポジションがある、やや使いにくいだろう。

○ひいらぎかざろう 小楽節の終わりの左手の8分音符が、その次との接続の加減が微妙に食い違っている感が残る。

○まほうのすず スタカートながら8度ポジションがある。教材としては少し使いにくいだろう。

○動物園へ行こう 2小節目の和音が少し気になると言えば気になる。ここまでが付点4分音符の課題、すなわちバイエルの51番までとあるが、もちろんその段階では最初の「アルマンド」も大分苦しい。

○月のまわりをまわろうよ 8度が届くのならば易しいが、そうでなければお薦めできない。

○おもいでのアルバム 私、個人的にこの曲は好きじゃない。ただCにしたのは、右ページ3段1〜2小節の左手がちょっと気になるからである。私ならFAC、FAsC、EGC、CEGと運ぶ。

○春の朝の歌 メトードローズにあるものの改訂版? 私はメトードローズのものの方がいいと思う。ここまでが8分の6拍子の練習。

○かねが鳴る 他に良い編曲がある。

○ワルツ ブレスラウアーの「やさしいピアノ小品集」の一曲。これが多分一番いい曲。

○ポリウォリ・ドゥ・ドル 7小節目左手3拍目の3はもちろん1の間違い。どうもこの編曲者は前奏と後奏をつけるのがお好きなようである。

○こげよマイケル 評価Aにしようかと迷ったが、この後奏は何というか定型パターンを無理にくっつけた感じで子供は喜ぶのかもしれないが、迎合の匂いがして私は気に入らない。総合的に見ればこの編曲は出来がいい。

○ミッッキー・マウス・マーチ おまけのAです。

○風のワルツ これは原題ではないと思う。大分こった伴奏が付いているがポジションがまるっきり安定しないというのはこの段階では余り良いことではない。ここまでがヘ音記号の練習。

○コスモス バランス上繰り返しはつけた方がいい。

○おどりつづけましょう これもメトードローズのものの方がいい。

○オーストリア風のワルツ ここまでが8分の3拍子の練習。

○かわいいミュゼット これもメトードローズの方がよろしい。

○ドナ・ドナ 連打の指使いの方針がバラバラ。

○大きな古時計 「うごかない」の歌詞の部分の右手、53あるいは54となっているが、手前が休符なのだから5を使う理由はない。33もしくは44でいい。

○ああ、かわいい これと次は連弾。これもメトードローズの改変だが、これは出来がいい。

○アルザスのおどり これもメトードローズの改変。

総合評価     C

 編集意図は評価できます、ってな感じでしょうか。

 つまり、この程度の曲集ですと、大半が類書と同じものが並んでいる、ということになりがちなんですが、割と目新しいものを揃えている、そのことは評価できます。

 ただ、同じものが並ぶというのは、このレヴェルの曲には優れたものは極めて少ないという事情があるわけで、目新しくかつ優れた曲が並んでいるかといえば、残念ながらそうは言えない。ただまあ、使えない曲というわけでもない。

 もう一つ評価すべき点は、教材として見た場合、技術的に部分的にそのレヴェルを超えた箇所があるという曲がほとんどない、つまり無理なく使うことが出来る・・このレヴェルの曲集では大切なことですがそれが出来ていない本は結構ある。

 B-でもよかったかなと思うのですが、評価を下げたのは多数あるメトードローズ改変ものが、連弾以外はことごとく原曲よりよくない(と私は判断します)ということ。

 特徴としては、どうもこの編曲者は前奏と後奏にこだわるようで、大半の曲にそれらが付く。別に音的に妙なものは付いていないが、この程度の短い曲にいちいちそんなものを付けると、曲全体の半分くらいを前奏と後奏で占めてしまったものもある、バランス的に少し妙です。

 ただ検討対象に上がったのは2巻ですが、未検討の1,3,4巻はその収録曲によっては、もう少し評価が上がる可能性があります。

                                                     2002:5:5記

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