原始共同体社会では子は母系でしかたどれませんでした。婚姻制度というものはなく、子は産んだ母しかわかりませんでした。子は母と部落が育てたのです。
小さな共同体部落が大きな集落へ、そして社会性をおびた集団社会=奴隷制社会へと拡大していくと、その支配者たちは自らの得た地位や私有財産を自分の子に継がせたいという欲求が生まれます。
そのためには自分の子を産ませるための女が必要だったのです。婚姻制度はこうして生まれました。そして「私有財産」を継がせるのです。
「奥様」「奥方」という言葉も、支配階級(武士)が自分の家督を相続させるために隔離した女を現した言葉です。
「原始、太陽であった」女までもが支配者たちの「子を産む道具」におとしめられたのです。
ここで混乱してはいけないことがあります。女を「子を産む道具」にする必要があったのは支配階級だということです。
支配階級は自らの姿に似せて世界をつくろうとします。
だから一般庶民にも自らの思想を吹き込むのです。「女は男に従うべきだ」という思想です。一般庶民には継がせるような膨大な資産などありません。女は共に手をたずさえて生きていくための伴侶です。
こういう階級的視点でものごとを見ないと、「女の敵」が誰だかわからなくなります。「男」一般が敵ではないのです。
女性解放運動というものがありました。活動家の女史たちは「男からの解放」を唱え「家事・育児からの解放」を唱えました。こういう非階級的な一般論も混乱をまねきます。
女性が真に解放されるための敵は、女を奴隷化している支配階級であり、男たちに深く浸透させられている支配階級の思想です。
家事・育児とは解放されねばならないほど忌むことなのでしょうか、原始共同体社会の集落にあってそれは最も重要な仕事でした。家事・育児をする女性は最も大切に扱われ、守られていました。どんな動物社会でも同じことです。
女性の隷属化と社会差別は階級社会が生み出したものであり、奴隷制社会から封建制社会、そして資本主義社会にいたるまでつづいています。一般庶民の男が生み出したものではありません。
男による女の性的支配や差別は、階級支配が生み出したものであり、この階級社会を打破する革命運動と一体のものでなければ実現しません。
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