6月24日世界中にニュースが流れた。ロシア傭兵軍団「ワグネル」創設者プリゴジンが、プーチンと直接交渉を求めて、モスクワに向けて25,000人ワグネル軍として進軍中だというもの。
ウクライナ戦争の真っただ中、話題のワグネル率いるプリゴジンが、プーチン率いるロシア正規軍への不満を爆発させて、トップのプーチンに軍のトップ2人の解任を求めるというものだ。
ショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長は、ワグネルを利用するだけ利用して、ワグネルの前線での勝利をロシア軍の勝利だと横取りした。ワグネルが前線で武器と弾薬が足らないので補給を求めると、それに対応しなかった。そればかりか、ワグネルを7月には解体させロシア軍への編入を求めてきた。さらに、ロシア軍はワグネルを背後から攻撃してきた。その過程でワグネルはロシア軍のヘリを撃墜した。
一連の動きはプーチンの意思と異なる軍指令部の意図であり、軍はプーチンに謀反を起こしている。これはワグネルと私プリゴジンへの許しがたい仕打ちだ。というのがSNSでの主張で、モスクワに進軍した。
ロシア国防省は、ロシア軍隊による複数のワグネル拠点キャンプへの攻撃などは事実でない。政権にたてつくでっちあげた言い訳だと声明をだした。
欧米日のマスメディアは「軍事クーデター」「ロシア内乱」「プーチン政権崩壊の始まり」などと報じ始めた。
プーチンはこれを受けて直ちに緊急演説をした(全文は後述参照)。
「1917年の繰り返しは許さない」「国内不安から祖国を守る行動は困難になる」「武装反乱を準備し、裏切りやテロ行為の道に進んだすべての者は避けられない懲罰を受けるだろう」という厳しいことばで、政府の姿勢を明確にした。
翌日に動きは一転した。プリゴジンはモスクワへの更新を中止し、ベラルーシに行くというもの。ベラルーシのルカシェンコ大統領が仲裁に入り、怒りに燃えるプリゴジンを説得したという。
プーチンは、即時プリゴジンとは名を出していないが、彼の行動は問わないと声明を出した。ワグネル隊員は正規軍に編入するかベラルーシに行けと。
ルカシェンコは、プリゴジンの安全を守る。ワグネルの居住も保証する(ただし、費用は自分たちで持てと)と声明。実際にプリゴジンは個人機でベラルーシに行った。
プリゴジンは「われわれはあくまでロシア軍の行動を批判したかっただけで、政権転覆の意図はなかった」とトーンを下げた。
以上が全体の流れだ。
数日経過した28日、ベラルーシのルカシェンコ大統領は仲介に至った「経緯」を報告した。
まずプーチンに電話してプリゴジンとの仲介を申し出た。プーチンは「プリゴジンは怒り狂った心境で申し出を断るよ」と。だがそれでも試みてみようということで、プルゴジンに電話した。彼は長い時間をかけて、ロシア軍の不条理な態度を語った。2人の軍トップを引き渡せ。プーチンと合わせろと、怒りをぶつけてきた。
「わたしも君も、プーチンのことは昔からよく知っているだろう」「モスクワに着く前に虫けらみたいにつぶされちまうよ。よく考えろ」と冷静にルカシェンコは話した。プルゴジンはようやく落ち着き、冷静にルカシェンコに従ったという。
プーチンとルカシェンコとプルゴジンは、もともと大変親しい仲だ。意見は一致してウクライナ情勢に対応してきた。それが、突然プルゴジンが「反プーチン」的な行動を起こしてきた。そして長引くことなく、ルカシェンコの仲裁で落着する。
この事件はいったい何だったのか。
確かにプーチンの長い盟友だったプルゴジンの「反乱」であった。
ロシアが全力をあげてウクライナで戦っている最中の、内部の反乱の意味は大きい。真っ先にプーチンが「1917年」のことを例にとって語ったことに意味の核心がある。
1917年と言うのは世界人民が絶対に忘れることができない、レーニンのロシア革命だ。人民の歴史上はじめて、人民が人民権力の国家を作ったのがロシア革命。地球支配者が一元支配を実現しようともくろんでいるときに、ヤツらの弱い鎖の一か所を断ち切って、地球上に人民国家を作った。
全世界の人民に希望の星が誕生した。逆に地球支配者から見れば、絶対に許してはならないことが起こった。ヤツらは生まれたばかりの人民国家であるソビエトに対して、徹底的な制裁と弾圧を加えてきた。
日本も含む17か国干渉軍の侵攻、スパイをなだれ込ませて反乱の勃発。生まれたばかりの弱小なソビエト政権は毎日がヤツらの攻撃との闘いだった。旧ロシア政権の戦争の多額の賠償支払い、領土の譲渡要求。ヤツらの挑発によるいたるところでの戦闘は、ロシアの人民の団結を逆に固めさせた。
多くの内戦の犠牲を払って、干渉軍、白軍とたたかい、最終的には勝利してソビエト政権を防衛した。それでもヤツらはあきらめずに、第二次世界大戦を起こして、ドイツナチスを使ってソビエトの消滅をもくろんだのだが、これもスターリンの巧みな戦術によって、ソビエトは死を免れた。
プーチンが語った1917年の内戦と言う悲劇を絶対に繰り返さない、というのは、まさにソビエト人民の意思だ。
プーチンは演説であらためて指摘した。「今日のロシアは、ネオナチとその主人たちの侵略を退けながら、その未来のために苦しい戦いを強いられている。事実上、西側の軍事、経済、情報機関のすべてが、われわれに向けられている。我々は、国民の生命と安全、主権と独立のために戦っている。千年の歴史を持つロシアであり続ける権利のために」。
ウクライナ戦争の主目的が、ロシアとプーチンを崩壊させ、亡き者にすることだ。つまり、地球支配者と真っ向から戦っている。当時のソビエト政権の窮地と同じ状態にある。
このような時に発生する「内乱」は、いかなる理由であっても、それはあってはならない。ロシア人民が全力をあげてそれと戦う、というすさまじい決意表明している。
プルゴジンは、自分のなしている行動を、政治的に、階級的に理解していない。例え、プーチンの長い友人であれ、ロシアに過去に多大な貢献をした人物であっても、許されない一線を越えている。プーチンはプルゴジンを名指さなかったが、ワグネルについては名を上げて非難した。
これは、ロシア人に限らず、世界人民の教訓だ。
この「乱」があったのは事実だ。しかし、こうした事件が、別の側面から見てみると、さまざまなことが浮かび上がる。
報道で言われているように、プルゴジンの行動はプーチンはもとより、欧米の諜報集団も事実を前から掌握していたようだ。欧米マスメディアは、それ見たことかと「軍事クーデター」「ロシア内乱」「プーチン政権崩壊の始まり」「ロシア軍士気の消失」だと騒いている。
しかし、この事態をみて思わずというかチャンスと見て行動を起こしたヤツらがいる。それはまずウクライナ軍だ。反転攻勢は今こそと考えた部隊は行動したのだが、実は一斉に初動を待っていたかのようにたやすくロシア軍に敗北している。
一丸と言われていたワグネル部隊も同じだ。25,000人と言われるこの部隊も、プーチンの投降、正規軍への編入呼びかけを聞いて、多くはワグネルから離れた。実際にプルゴジンについていったのはわずか数千人である。
さらには、ワグネル部隊に潜入していたNATOからのスパイも告発されている。つまりは、乱が起こったがゆえに、ヤツらの弱点が暴かれるという結果も生んだのだ。
何よりも、プーチンが盟友であるルカシェンコと組んで、素早く乱を沈め、表面的には誰も傷つかないように収めた手腕をこそたたえるべきだろう。もちろん、背後では乱に同調した組織と人物への容赦ない対応をしているであろうことは、誰もが想起するとおりである。
現在進行中の歴史的な戦争のことゆえ、安易なことは言えない。それほど流動していることも事実だ。
ただ、大きな視点から見ると、ウクライナでの戦闘はすでに決着がついている。つまり、ウクライナ軍の全滅により、各所での火花はあっても、戦争はもう起こっていない。双方の勢力線もすでに定着した。領土的な意欲など無関係のロシアは、南東部における親ロシア人がウクライナのナチ勢力から攻撃を受けることがない線を拡大する気はない。ここで復興をすすめている。
ウクライナ軍のトップは行方知れずか、殺されたかで不在。米軍とNATOの顧問団による事実上の在ウクライナ軍指揮本部も、ロシア軍のミサイル攻撃で破壊されている。
ウクライナの制空権がないまま「F16の供与」など能天気に話題になるが、軍事的には無意味だ。発着飛行場は破壊されたまままったく機能していない。ウクライナへの海外からの物資支援は、鉄道とトラック輸送だが、ロシア軍からの攻撃を避けたいために、ロシア軍に期日とルートを教えている状態だ。
ロシアはロシアに脅威になるものかどうかで判断し、必要があればルートを遮断するため、軍事物資の供給もできない状態だ。
ロシアは、親ロシア人の安全を守る義務から、支配地域からの撤退はしない。つまり、ウクライナが言う領土を戻す気はない。
ウクライナが「敗北」を認める以外にないのだが、終戦直前の日本軍のようにゼレンスキー政権は負けをみとめない。戦争を仕掛けた地球支配者が意地になってゼレンスキーに終戦を言わせないのだ。
NATOに結集している欧州のドイツやフランスはすでに敗北を認めて、終戦を望んでいる。長引くほど自国の経済事情が悪化して、もう耐えがたいのだ。背後では終戦会談を準備中だ。
これは、ウクライナでロシアに戦争を仕掛けた地球支配者陣営が、現在、終戦派と死決派に分かれているということだ。何らかの妥協案で終結をしたいのと、ウクライナ人民を最後まで巻き込んで戦い抜くという特攻隊だ。
問題の核心は戦争を仕掛けた地球支配者が、いまだに「ロシアとプーチンの崩壊」を目指し、諦めていないということにある。ヤツらの第一子分の米国や英国も、確かに口先では「ウクライナ支援」をいい、カネと武器を送り込む様子を続けているが、もうこうした子分たちも、では直接軍を出してロシアと対決するかというと、この線は形式的には守っている。
つまり、地球支配者の意図が今、人民に対してはおろか、人類、すべての人間に対しても、支持支援できないものであることを示しているということだ。
「ウクライナを根拠地にしてロシアとプーチンを崩壊させる」などという発想がすでに、根本的に間違いであり、グローバリズムという一元支配の考えが、ヤツらには一方的に魅力でも、それが決して人間のためではないということが浮き彫りになってきているのだ。
「一方的にウクライナに侵攻したロシアは許せない」と、巧妙に仕組んでウクライナ戦争は始まった。だが、それはグローバリズムという、他国へのちょっかいに過ぎなく、ちょっかいさえなければ、世界が平和であることに、世界が気づこうとしていのだ。
人間の思考とは無縁の悪魔の余計なちょっかいは、欧米日の人民に犠牲を押し付け、巻き込んで混乱を巻き起こしている。その理由をロシアの侵攻にあるといい、それに人民が同意し続けると思いこまれている。
人民の革命の視点から観れば、ウクライナ戦争の現実はこの通りなのだが、レーニンが「何をなすべきか」で明らかにした問題の壁が、まだまだ厚く、これからの展開には予断は許されない。
その壁というのは、人民自身の理解する思考の限界のことだ。限界の突破は、人民自身の自然発生的な活動の積み重ねからはできないということ。明確な階級思想(地球一元支配を認めない)をもち、明確な立ち位置(人民に奉仕する)をもった人民の党が薄弱だからだ。党の歴史的弱体期を迎えているなかで、表面上の願望の展開を求めることはできない。
表に出てくる事象を取り上げて、その事情の背後にある力関係、発生の根本的な原因を、営々と解き明かす行動こそ今は大事だ。
●人民の主敵は、
①国際金融資本とグローバル企業
②王制特権階級
③バチカンと一神教原理主義
④帝国軍と諜報機関
⑤マスメディア
⑥各国カイライ政権
●人民生活と思考の5原則
①人に迷惑をかけない
②カネとモノ、利権のとりこにならない
③地球と未来に負荷をかけない
④戦争の根絶、安寧な生活
⑤人間としての誇りと尊厳