記・国民B(2016.3.2)
■「暗黒カイライ安倍の「夏の選挙での三分の二、閣議決定での全権委任、戦争憲法実現で、国民総奴隷化」の流れを甘んじて受け入れるのか、人民の権力か」(2016.01.25)を読みかえしてみたらいいが、今年になってからの情勢の基本は、3月にはいってもこのとおりに推移している。

 ここ1か月ほどの情勢の動きを振り返るときに、いくつかの事実が指摘をより的確に裏付けている。

◆アベノミクスの崩壊と国際情勢
 安倍は「日本経済のファンダメンタルはしっかりしている。短期だけをみて崩壊というのはいいがかりだ」という。相変わらずの卑劣な口ぶりである。
 日経平均株価低下、円高、貧困増大は安倍が実現したみごとな成果だ。アベクロの日銀バズーカであるマイナス金利は日本発世界恐慌のひきがねにさえなりそうだ。これでも「景気は穏やかな回復傾向」と言いくるめる。目の前の現実と世間の感触が真逆。
 円高は基金通貨ドルに対するもので、円高すなわちドル安である。ドルの価値がみるみると値下がりしていることだ。アベクロは日本のありったけの資産を貢ぎ、ドル安を救おうというのだが、マイナス金利という最後の手持ちカードを使ってしまい、あとは一直線でガラガラポンだ。日中戦争、預金封鎖、緊急事態の政情。
 この危険を日本のマスコミは伝えない。欧米の一部マスコミは報じて警告を出している。「安倍は危険だ」とまで書きたて、安倍を通じて政策を命じているネオコン戦争一味をまで批判している。ネオコンの表の顔であるブッシュらに対しては、国際法廷へ「犯罪者」として提訴までしている動きがある。国際法廷など信用していないが、訴えはまともだ。
 米国の大統領選挙キャンペーンの動きでもあきらかなように、米国中央政治、すなわちネオコン戦争一味とウォール街の金融資本による牛耳りには、猛烈な反発が盛り上がっている。牛耳っているヤツらがキャンペーンの主導者であるのだが、それへの反発が、食わせ犬として登場させたトランプらへの票となっている。
 キャンペーンの筋書きに反し、必死のマスコミでの誘導を試みても、覆い隠せないほどだ。それほど中央政権にいけやを感じているのだ。選挙がインチキで、マスコミは誘導するだけで、真実を覆い隠す。このことを肌で見抜いている。
 日本で「安倍の顔をみただけで、声を耳にしただけで、虫唾が走る」という圧倒的な世論と同じだ。
 キャンペーンではすでにブッシュは降りた。降りた理由はこの民衆感情のなかで、へたに動けば動くほどネオコン戦争一味への反発が広がり、ヤツら地球支配者に不利だということだ。
 「トランプなどが大統領になったらCIAは従わない」(CIAはヤツらの私兵)と発言したように、ヤツらの立てている筋書きでは、いろいろな山場を演じてのちに、49対51で最後は地球支配者の手先が勝つことになっている。これは揺るがないだろう。
 どこの国も同じだが、為政者にとって代わる人民権力が構築されていなければ、現中央権力が自滅しても、地球支配者のBチームがとってかわるだけだからだ。
 安倍暗黒政権も同じだ。
 地球支配者は何百年も前から極東の日本の征服をもくろんできた。その過程で特別な手先を育ててきた。特別な手先を通じて、明治維新のときに幕府側にも薩長側にも莫大な戦費の貸し付けをして、勝った薩長側の手先をその後、日本の中央政権に配置してきた。
 先の戦争の時には朝鮮、中国、東南アジアでアヘンを使い暗躍して、内外の多数の人民を犠牲にした。その犯罪の中枢をになったのが特別な手先だ。戦後A級戦犯とされ、何人かは死刑に処されたが、特別な手先は獄中で再度手先になることを約束して、罪を免れた。CIAから資金を得て自民党の元の保守党をつくり、統一教会をつくった。安倍一族は岸、佐藤、安倍と中央政治の首相となった。三菱は現在でも軍事産業の中枢だ。
 読売は元A級戦犯でかつCIAのコード名までもつ特別な手先が、同じく世界最大の工作機関電通とならんで、日本のマスコミを牛耳る役割をになっている。マスコミの外資の比率は上限が20%と法で禁止されていにもかかわらず、総元締め電通もフジも違憲状態(日テレ29.8%、フジ29.8%)といっていい。
 この特別な手先が「原子力の平和利用」などと偽って原発という災いを50基もはびこらせた。発電してなくても間に合っているのに、ここでまた「原発は安価」などと欺いて、再稼働に走っている。「汚染水漏れ」「原因不明の緊急停止」「メルトダウンについてのマニュアルはあった」「政府への報告は1時間遅れた」…とボロボロ。管理下(安倍「アンダー・コントロール」)になどない。こんなことすらできもしないで、安倍は再稼働する。
 地球支配者がネオコン戦争一味を通じて安倍をカイライとして牛耳り、日本のマスコミを通じて世論を誘導する。これは当然の事態で「時の政権に不都合なことを報道するなら電波停止だ」という恫喝も茶番だ。内輪のじゃれあいだ。
 いかに安倍の間違いが暴露されても、安倍内閣への支持率は、50%とか60%とかと報じる。民衆の中では「数字はあやしい。何か政府の圧力で操作されているのではないか」「周囲の声やインターネット・アンケートの数字とも違いすぎる」という疑惑が広がっている。
 マスコミは「時の政権に不都合なことを報道する」ということこそ存在価値がある。このことを禁止するのであれば、いかなる政治も人民には不要な政治だ。

◆TPPを挫折へ
 TPPは地球を支配する中枢であるグローバリズム企業群、国際金融資本が、国の壁を越えて支配するという人類史最悪の愚劣な条約である。ヤツらが牛耳る米国の政治屋を通じてこの条約を発案し提起したのだが、内容は露骨な企業による支配だ。
 これで各国の経済が良くなるわけでもない。人民が少しでも益をえるわけでもない。純粋に主犯たる一部の企業に利益が流れてくる。しかも各国の法を超える条約で「合法的」に取り立て、奪い取れるというものだ。
 条約のキモはISDS条約である。ヤツらが目を付けた国にモノを売りたいとする。たとえば米車だ。日本では売れない。だが、その理由が「日本の規制にある」と言いがかりをつける。それを米ワシントンD.C.にあるICSID法廷に持ち込む。このいわば私設法廷はヤツらの手先が務める。ここでは完全にヤツらの言いがかりが通る。日本は法を変えられ、売れるはずだった見込みを損害として税金から払わされ、賠償金まで追徴されるのだ。
 安倍はTPPが「大筋合意」になるや、日本農業が致命的な痛い目に合うのにたいする対処として、巨額の予算を組んだ。だが、これは「自国の為の対処」として条約では厳しく罰せられるものだ。TPPは自国のための対応を禁止しているのだ。
 日本の公共機関の入札案件がある場合、すべては英文(またはスペイン語かフランス語)でインターネット上で公開入札にする義務がある。
 これに違反すれば、ヤツらは当然法廷に持ち込む。違反した安倍や入札を英語でオープンにしなかったカドで、どこそこの市長が、ワシントンに呼び出される。当然法廷では負けて、巨額の支払いが命ぜられる。……
 この安倍が合意したTPPは、自国民の損害に対応すること、日本語で普通に入札を呼び掛けるという日常業務を「犯罪」として認めていないのだ。この結果がどう展開するかは、誰が見てもわかるだろう。
 安倍は意図的に合意したTPP条約と付随文書の日本語訳を公表しない。ようやく公表したのは一部だけ。要約だ。当然だが、ISDS条約のこと、ワシントンのICSID法廷(悪名たかい世界銀行の同列)のことは一言も触れない。……
 TPPが実際に批准されて、加盟国の訴訟があいついだなら、いくつかの国が大混乱に陥り消失することになりかねない。後述するように、普段の当たり前にやっている公務や仕事が「条約違反犯罪」とされるようになるのだ。地球支配者と目先のことだけしか見えないバカな安倍らの犯罪行為は空前のものだ。
 しかし、このあまりにも途方もないTPPは当の米国ですら批准されない見込みだ。米大統領選挙のキャンペーンに出ているトランプししても、クリントンにしても反対を言っている。議会については「読んでもいないのに賛成といえるわけがない」とひややかだ。
 グローバル企業や国際金融機関系だけではない多くの民間組織をバックに持つ議員は「この条約は産業にも労働者にも益をもたらさない。一方的に一部の企業だけが有利になるもので、賛同できない」と言っている。TPPに同意しない世論が増加している。ジャパンハンドラーと呼ばれる安倍への指示者も、さすがにあせって露骨すぎたかなと、方針の変更を余儀なくされているようだ。
 甘利はすでに逃げた。国会でもISDS条項を取り上げられた。核心をだまし隠した「要約文」に目を通した程度の閣僚がまともに返答できていない。TPP交渉内容が極秘であったことの理由に世界で関心が高まっている。

◆安倍の憲法改悪策動の動向
 1月末にNHKが放映した新映像の世紀シリーズでは、見方によっては興味深い内容があった。ひとつは安倍一族岸ら戦後A級戦犯の話題に関することであり、アルカイダは米諜報機関が関与して作ったとはっきり指摘し、暗にISもそうだという流れがわかる内容だった。
 2月末のテレビ朝日報道ステーションの番組で、現憲法に記載されている「戦争放棄第9条」がアメリカからの押しつけではなく、当時の幣原首相からの要請であったという証言がとりあげられた。岸時代の憲法調査会の肉声テープだ。
 安倍ら改憲論者が「押し付けられた条文で、独立国家として恥ずべき」としてきた理由が崩れる。軍を持たないこととか、戦争を放棄するということを、明記されている憲法を持つことは、そうでないことよりはるかにいいのではないか。
 安倍らの改憲論は、戦争をできるように法を整えたいという主張だ。これは人類に対する犯罪を合法化し、自ら加担するという意思で、これが間違っているのだ。安倍らの改憲に反対する理由はここにある。何も憲法至上主義ではない。憲法に書いていないから、侵略者と戦えないなどという理屈は無用だ。
 現憲法を認めない安倍は、自らの邪心にもとづいて作る憲法ならば重視するという。しかし立憲主義は「王政時代の産物で現代には通用しない」などともいう。つまり矛盾しているのだが、意図は「憲法に戦争ができることを明記し、そのうえで戦争するならそれは明らかな合法」状態にしたいのだ。
 安倍は夏の選挙で「議席三分の二を得る」。憲法の改悪に手をつける。三分の二を「それなら仕方ない」と有権者に思わせるために、マスコミが世論誘導をしている。切り札は「消費税値上げの再延期」だ、とここで昨年暮れに指摘した。このわかりやすい策動は他からも指摘が始まっている。安倍の身内からも「ここまで冷え込んだ中での値上げは無理やりやる必要がない」ということを言い始めている始末だ。
 安倍がギャンブラーへの貢ぎや外国への巨額のばらまきをしている(一部は自分にキックバック=犯罪)が、これを国内経済にまわすだけで、年金、老人、子供、教育等々の費用はまかない過ぎても余りある。
 北朝鮮がロケットを発射し「人工衛星を打ち上げた」と声明。北朝鮮と意図的に国交や平和条約を拒否している日米韓。実は世界の多くはすでに北と国交を普通に結んでいる。貿易もしている。世界で孤立しているこの三国は、実に偉そうに異様な「制裁」を口にしている。
 NHKは国内では北が「危険な核弾頭を掲載できるミサイルを同意に違反して開発実験した」とわめく。ところが国際放送では普通に「ロケットを発射」と表現している。
 世界を我が庭として跋扈する米国はジャイアンそのもの。ちょうど大統領候補のトランプだ。「オレは核ミサイルを自由に持ち使いもできるが、お前はやっちゃいけない」「お前がミサイルを持つのは百年早いばかりか、永遠にだめだ」「その命令をきかないなら鉄拳制裁だ」とわめきちらし、金魚のフンの安倍や韓国にいじめを指示する。名称が真逆の「国際安全保障理事会」なる組織にかけて「決議」するというのだ。
 このガキが見てもわかる、不平等といじめという「制裁」を、さも当然とばかり騒ぐ。この騒ぎを演じて、日韓のカイライは米国から不要なミサイル防衛システムなるオシャカを超高額で押し付けられる、という図である。
 命令者に言われて隣国と話もできない、あわれなカイライ安倍の姿。

◆安倍の「12の犯罪」
 安倍暗黒政権の悪政を突く山崎康彦のサイトからの流用。12の犯罪として簡潔にまとめられている。
【以下は、安倍晋三首相政権が現在まで4年半の間に犯した主な悪政と権力犯罪の内容だ!
1) 金融テロである【アベノミックス】によって円の価値を半分にしてトヨタなどの輸出大企業に莫大な利益を与えた。
2) 金融テロである【アベノミックス】によって、円の価値が半分になったため、輸入食料品や輸入原材料の価格が急騰し物価上昇を招き国民を貧しくさせた。
3) 金融テロである【アベノミックス】によって、日本銀行は3年間で300兆円もの国民資産である円紙幣を印刷して、すべてをメガバンクなどの銀行に流して株や国債や債券を買わせ銀行に莫大な利益を与えた。
4) 安倍晋三政権は、2011年3月11日の東日本大震災の被災者を救済せず、未だ15万人が仮設住宅で不自由な生活を強いられている。
5) 安倍晋三首相は第一次内閣の2006年12月の国会答弁で、共産党吉井衆議院議員の質問主意書に対して『日本の原発の安全基準は世界一厳格である』『福島第一原発では全電源喪失はあり得ない』と嘘の答弁をして、東電による第二次電源の安全確保をさせなかった。/国会答弁から4年3カ月後の2011年3月11日、東日本を大地震が襲い直後の大津波によって福島第一原発の電源がすべて破壊され冷却システムが機能停止になったのだ。/その結果、福島第一原発の4つの原発の冷却システムが全面停止となり、第1原子炉、第2原子炉、第3原子炉の核燃料計270トンが溶解し大量の放射性物質を大気、土壌、地下水、太平洋に拡散させのだ。/福島住民200万人をはじめ、東京を含む4000万人に上る住民を、放射能被ばくさせたA級戦犯は安倍晋三である!。
6) 安倍晋三政権は被爆住民の健康被害と放射能被ばくとの因果関係を一切認めていない。
7) 安倍晋三政権は、福島原発事故により停止した原発の再稼働を次々に強行している。
8) 安倍晋三政権は、憲法の解釈を変更して“戦争法案”を強行成立させて自衛隊を米国の戦争に参戦させようとしている。
9) 安倍晋三政権は、TPP加盟強行によって、日本の主権と独立を米国と米国大企業に売り渡し国民経済を破壊しようとしている。
10) 安倍晋三政権は、【憲法改正】の偽名で、現在の日本国憲法を戦前の大日本帝国憲法に差し替えて以下の5つの基本理念を全て破壊しようとしている。
 ①主権在民、②民主主義、③反戦平和、④個人の自由と基本的人権の尊重、⑤隣国との平和共存
11) 安倍晋三は世界90カ国を回って国民資産80兆円を国民の許可なくばらまいた。
12) 安倍晋三政権は、国民弾圧立法である秘密保護法を強行成立させた。
 日本の大手メデイアは、悪政と権力犯罪を犯す安倍晋三政権を国民の半分以上が支持しているとの大うそをついて、世論誘導を行っているのだ。】

◆「七つの会議」(2011:池井戸潤)は「蟹工船」(1929:小林多喜二)
 直木賞作家の池井戸潤の作品。日経電子版に連載され、2013年のテレビドラマにもなった。『会社の未来を、諦めない。』というのがドラマのキャッチだが、書籍では『“働くこと”の意味に迫る、クライム・ノベル。』と帯に記されている。
 池井戸潤は人気作家だ。NHKの「七つの会議」とほぼ同時期のTBS「半沢直樹」は倍返しの流行語までなった。同じくTBS「下町ロケット」も絶大な人気をえた。
 「七つの会議」だが、これはドラマではなく本を読むのをすすめる。すでに読まれている方は多いと思うが、この本は現代の「蟹工船」といってもいい。
 ドラマのキャッチは職場で働く人が重圧と苦悶にあえぎながらも、その労働に光を見出すというような、救いというか慰めというか、ぎりぎりの善を語ろうとしている。
 それに対して、小説のキャッチは、ずばり働くことの意味としての犯罪に切り込んでいる。国民Bがこの間指摘続けてきた、現代社会システムの巧妙な構造。地球支配者が作り上げてきた資本主義の犯罪構造の末端での究極の姿が、みごとに表現されているのだ。
 現代社会では資本主義のシステムの歯車に組み入れられずには、誰であっても生きていけない。組み込む組織のもっとも発達した場所は、大企業という会社の現場だ。会社に勤め、働くということは、労働者にとって生活の費用を給与として得ることである。そこで家族とともに食っていける。家庭ではよきパパとして、普通の人間としての顔がある。
 だが、ひとたび玄関出て職場の門をくぐると、全身全霊が企業の戦士に変身する。しなければ働けない。働くということのひとつひとつが、あやうい犯罪の境にある。さまざまなプロジェクトを発案し、論議し、決定し、部下に指令を出す。企業という組織が「競合に勝ち抜き生き残るため」の過酷な戦争の現場なのだ。否が応でも、ここに放り込まれるのだ。前回より今回は必ず売り上げを伸ばせというノルマ、コストを下げるという指令は絶対命令。職場の労働者自身による「首絞め合戦」がヤツらが作り上げた「職場」なのだという資本主義の根底にある本質をついている。
 ぎりぎりの決断が常に求められる。神経が擦り切れそうになる。すべての余裕は仕事の全身に集中させられる。ストレスはピークになる。悪魔のささやきが聞こえるようになる。時には上司が誘導する。時には自ら苦し紛れの秘策を立てる。実行する。
 見かけ上の結果が出る。墓穴を掘る場合もある。隠ぺいに走る。死人が出る。取り返しのつかない事態になる。資本主義の存在に魂を売った政治屋、弁護人このときのためにカネで育てている。それを動かして、存在した犯罪は最小限にくいとめられる。公表をまぬがれれば「犯罪」はなかったことにすらなる。
 組織の一員である人が潰れ退社していなくなっても、ずっと前からいなかったかのごとく補充される。企業の活動が表では人のため世のため、人類の繁栄のため、といいつつも、内実は犯罪の巣窟となって、自己補填、自己修復をしながら続けていく。
 「競合他社に競り勝って生きていくため」という理由に抵抗できるものは、資本主義社会に存在しない。「一円でも安くつくり、一円でも多く売る」ためなら犯罪にまで手を出す。その犯罪をカイライの政治屋とともに法的に「合法化」することが、資本主義政治の本質となっている。
 以上のような実態をぐいぐいとえぐったものになっている。「蟹工船」は「われらがお上の国や軍隊は、血も涙もない経営者の非道をとりしまってくれる」という庶民の幻想を木端微塵にするものであった。「七つの会議」は「会社で働くことは世のため人のため繁栄のため」というマインドコントロールされた神話をうちくだく。
 一人の人間としての本来の意思とは無関係に、門をくぐるや真逆のマインドにされ、犯罪の歯車にされ、一生を捧げされるのだ。しかも、その場に毎日仕事して通う人間は一人残らず、家庭ではよきパパ、よきママである普通の人びとであるということだ。
 そこには、地球支配者も、安倍らから派遣された悪魔のよそ者もいない。代官のような内外無関係のワルもいない。職場の扉を開けて入るときにマインドのスイッチが自動的に真逆に変わる装置を埋め込まれた、普通の人たちであることが空恐ろしい。そして、働くもの誰しもが毎日演じている行動そのものであることだ。まるで自分の行動を横で見つめながら描いているような身近さだ。
 「七つの会議」は人民の必読書だ。これを読んで、パワハラだ、下請け会社の悲劇だ、というレベルでとどまっていてはならない。一人の人間として、尊厳と矜持にかけて「働くことの意味・犯罪」を論じる必要がある。巧妙に隠された本当の主犯が明らかに見えてくる。

  ・ひとを不愉快にさせたり、迷惑をかけないこと。
  ・カネの盲者、欲の盲者にならないこと。
  ・子孫に負荷をかけない、未来にツケをまわさないこと。
  ・戦争の禍根を解き放つこと、他国へのよけいなお節介をしないこと。
  ・人間の尊厳をもって生活できるようにすることへの貢献。

 この5つの人間原理に照らして、読むならスーッと見えてくる。ヤツらの息の根を止めるには人民自身の権力がかなめだということだ。