冬のとっかん単独行(2021.1.22~1.24)
何年かぶりの排水溝

冬の間に一歩でも二歩でもやれる仕事を進めておきたかった。天気が崩れるのを承知で金曜の朝、新宿のバスタから出発。
前夜に準備した着替え、食料、医薬品、釣り道具にくわえ、朝から肉、野菜、下草(玉竜)のポット9個をパッキング。ザックは重く頭の上までそびえた。もう酒は入らない。バスの中で飲むレモンサワー1本だけ。

バスタには早く着きすぎて、人もまばらな待合場で30分も待つ。
日東バスは最近、車体が新しくなって乗り心地もよくなった。乗客は5~6人。
新宿から館山行に乗ったのははじめてで、山手トンネルを南下する。このトンネルは何か嫌な気がする。
道路はすいていて定刻より早く館山駅着。
乗り換えた路線バスは、まるで日なたに放置した車のように車内が暑かった。ザックの肉や一番上に入れた青イソメが傷むのではないかと心配したくらいだ。
そんなバスに35分乗って、1:40に現地着。

家のなかは17.7℃。外も寒くはない。

翌日からは雨の予報が確かなようなので、とり急ぎの仕事をはじめた。

入口の排水路の縁に玉竜を植える。以前にも植えたことがあるが、誤って除草剤をかけてしまって大半を枯らしてしまった。
水路を覆う雑草をむしり取りながら、縁石の間に植えこんでいく。水路への泥の流入を抑えるためだ。いっぺんにはできないので、すこしずつやるしかない。
今日の仕事はこれだけ。あとは焚火だ。前回に刈り取った草や竹を燃やし、朽ちかけてころがっている株をくべる。
あたりが薄暗くなり、とっぷり暮れていく。昨夜は上弦の月だった。少し膨らんだ月に雲がかかりはじめた。火のそばにいつまでも座りつづけた。

翌朝は早起きして釣りにいくつもりだったが、目覚めたらもう8時。風がでて昨日よりずっと寒い。パンとコーヒー、リンゴで朝食。外をみると雨が降りだしていた。
釣りはあっさり諦めて、岩場の海苔(はば)の様子を見に浜へでかけた。身支度は雨ガッパ。もうだいぶ潮があがって十分にはみきわめられなかったが、はばの育ちはまだ少し早いようだ。
ついでにカサガイを探してみた。前回、平砂浦に近いところでは、たった一つのカサガイもみつけられなかった。変だとおもって今日は岩場をみたのだが、やはりない。いったいどうしたことだろう。いままでこんなことはなかった。

石垣作りに必要な貝殻砂をネコ車で運ぼうかと思ったが、カッパの雫で濡れた軍手が冷えてこごえる。こんな日にやらなくともと、これまたあっさり敬遠。
浜から戻って冷えた手を湯で温め、つま先をファンヒーターで温める。
たいした雨ではないので、ひと仕事することにした。
庭の草むしりと排水溝の掃除だ。再び雨ガッパを着た。

排水溝は草に覆われ、落ち葉や泥に埋もれていた。もう何年も手をつけていなかった。植えた玉竜に手を入れながら、まわりの雑草を取り、溝の泥を掻きとる。やりはじめるととまらない。苔むした石に手をつき、水路の底石にシャベルがあたるのを感じると、丹念にこの排水路を作った先人の気持ちが伝わってくる。毎月でもこうやって水路を守ってやりたい。

最後に西の土手にあがって、蔓草を刈った。夏に蔓延した蔓が地面を覆いつくしていた。マルバアサガオが悪魔のように絡みつく竹も伐採。しかし無理は禁物。雨の中ここまでやれば上出来と15:20に作業終了。
安物のカッパのズボンからは水が沁みて、すっかり脚が冷えていた。着替えてファンヒーターの石油の残りを気にしながら温まる。
具だくさんのカレーを作って、焼酎のお湯割りで長い夜をむかえた。

日曜も雨はあがらない。
昨日の夜更かしで今朝は10:15起床。寝すぎた。
今日は平砂浦2時すぎのバスに乗るのでもう仕事はしないと決めていた。
あたりを見回しながら次回の作戦を考える。
最難関は家の裏。

この泥と根のかたまりをかたづけながら、石垣作りを同時進行させねばならない。家を湿気から守るために排水溝の復旧は急務。重圧だ!

畑の大根は順調に育っている。梅の芽もたくさんついている。ブドウの芽も。アロエも柚子も、木々が命を広げる春がすぐそこだというのに、まだ冬が続いてくれという気持ちにひきずられる。冬のとっかん仕事に全力をあげねば!

浜でひろったチリボタン貝。

たいがいカケラしかないのに、これはわりと整っている。といってもそんなに姿かたちが美しいわけでもない。水に濡れると綺麗な赤い色がはえる。館山の浜にはこれがたくさんある。なぜか気に入ってつい拾ってしまう。

今日もいました。トイレの上の壁にへばりついて。
重戦車みたいに雄姿ですね。これはアシダカグモのメス。

みんなで行くときにも、雨戸を開けると入ってくるので「だめだよ、みんな驚くからね」と外に出そうとしても逆に走りこんでくる。手で防いでも手のひらを乗り越えてしまう。ひんやりしてるんです。網を張らない徘徊性のクモでは日本最大。ここには特に立派なのがいます。私が大事にしているから、みんなも毛嫌いせず排除しないでくれるから嬉しい。初夏には卵の入ったホットケーキのような卵のうを抱えます。人には悪さしないからそっとしておいて。