館山梁山泊・三泊四日(2020.10.2~10.5)
草刈り戦

【10月2日(金)】
一泊の遠征では当日と翌日、半日ずつの仕事しかできない。これから先のことも考えて二泊、三泊の練習をしてみようと計画した。
金曜の朝仕事を終えて、昼過ぎ13:20のバスで出発。三泊四日の食料や着替え、釣り道具などを入れたザックはかなり重い。

館山での乗り換えを一本ずらすと1時間ばかりの余裕ができるので、odoyaまで歩いて買い物をするつもりだった。東京からのバスが少し早めに館山に着いたので、近くのコンビニで用をたせば一本早いバスにのれる。ダッシュして買い物をすませて早いバスに乗った。ところが今日は平日。土日とちがって途中までしか行かないバスだった。やむなくあの重いザックを背負って30分、歩くことになった。
現地着16:30。肩の疲労、痛みは相当なもので、明日からの仕事にさしさわりがでると思うくらいだった。夕方の釣りにでかける気力もなくなっていた。
なんとかしなければと、三才さんが置いていったエアサロンパスをみつけて使ってみると、早期対症・効果抜群、しだいにコリがほぐれていく。

昨日まで雨だったようで、庭の土も炉の灰もしけっていた。なにはともあれ、火を焚いて蚊よけ。薪が燃え上がるとやっとスタートラインについた気分になる。ここで缶ビールだ! あたりではやたらとキジが鳴いている。田の畔にはちょっと盛りをすぎた彼岸花。まったく知らない土地ではないし、気持ちはこういう世界にすっとなじむ。
昨日は中秋の名月で東京でもきれいな月がみえたが、今日はきれぎれの雲にさえぎられて満月がみえない。それでもあぜ道くらいは明るくうかびあがる。
夜9時の外気温は20.2度。

【10月3日(土)】
7:30起床。晴れ。いつものパンとコーヒーで朝食。今日も明日も泊りなので、時間たっぷり感にひたる。
8時すぎから庭の周辺部の草刈りをはじめた。ヘクソカズラが2mも3mも蔓を伸ばして蔓延している。むしりながら鎌を振るう。陽射しはさわやかなのだが、体を動かして働くとすぐに大汗がしたたる。休憩の回数がしだいに増える。
西側の築山をみると、あたり一面が西洋朝顔の葉に覆われていた。竹や木を伝って土手のはるか上まで蔓を巻きつかせ葉を繁らせていた。紫の花も咲いている。下のほうに生えているハランなど影も形もみえずに覆われていた。この無用の長物を退治しようと矛先を変えた。

蔓が巻きついている竹や小木など手の届くものは片っ端から切りはらった。垂れ下がった蔓の束をひっぱると、大木のてっぺんにまで届いている。おそるべき成長力だ。ひきずり下ろしたが途中で切れてしまう。まったくやっかいなものがはびこってしまった。

ようやくハランを救出したところで仕事終わり。シャワーを浴びてそうめんで昼の腹ごしらえだ。簡単!
大休止をとって、釣りの支度をはじめた。潮の時間もあるので忙しい! 振出し竿の先端が破損していたので修理しようと思ったが面倒なので、先端の1本を抜いた。今日ははじめからサビキを投げることにしていた。
いつもの岩場に行ってみると先客がいる。遠慮して遠投をやめて近くに糸を垂らすとすぐにアタリがくる。幸先よくベラが釣れる。機をみて投げてみると、穂先を抜いた竿のほうがよく飛ぶ。ついにアジがかかった。興奮! 上げ潮の夕まずめはいい。

これだけ釣れれば十分で、東京から出刃を持ってきたかいがある。
薄暗くなるまで焚火のそばでレモンサワー。こういう小さな満足感もいい。
夕飯はもちろんアジ刺しだ。
早く寝たいと思いながら、未開封の赤ワインに手を出して…nhkラジオの「朗読」を聞いてしまう。

【10月4日(日)】
7:45起床。室内の気温は23度だった。すずしい。今日も草刈り。いくらやっても刈り切れるものではない。庭には刈り取った草の山が三つもできた。それを土手のへこんだ所に運んで捨てる。おかげで、小さなハリアリに刺された。

西部劇で干し草を刺す、あのでかいフォークみたいなのがあればいいのにと思ってしまう。
紫蘇の下のドクダミを刈っていると、蜂が頭のまわりを飛び交う。蜂といくさはしたくない。よく見ると紫蘇の小さな花にたかっている。
今回は紫蘇の実が採れたらいいと思ってきたが、初日はまだ少し早かった。それがこの二日ほどでだいぶ穂が伸びてよくなってきた。明日の帰り際に摘み取ればかなり採れる。この時期のほんの一瞬のお楽しみだ。紫蘇の実の塩漬け、こんなにうまいものはない。

汗まみれのtシャツもパンツも長袖も、すぐ洗って干す。薄手のものはすぐ乾く。そうしないといくら着替えがあってもたりない。こういうとき、カカアがいてくれたらどんなに助かるだろうと思う。
昼はまたそうめんだ。生姜なんかざっと洗って皮もむかないでスる。面倒なことはやっていられない。
着替えてさっぱりして、焚火に薪をくべて最後の缶ビールを開けると、すっかりくつろいでしまって、もう仕事は仕舞いにした。

タバコ切れ、ビール切れが心配になって、相の浜まで出かけることにした。odoyaがある。まだ往復できるバスもある。
開拓団でいつも車で走る道をバスに乗った。狩漁部で網を仕掛ける場所も通過。
これなら下調べをすれば好きなところに網を仕掛けられる。
買い物をして、コーヒー屋でもないかとさがしたが、店などというものがない。寿司屋だけ。それも休み。バス停のある大きな売店のウッドデッキに椅子があって帰りのバス待ち。サンダルを履いた地元のおっちゃんがきて、土地の話をあれこれ。「家じゃ、女房と娘がうるさいんだよ」と、タバコを所望されてさらにお近づきに。買ったばかりのレモンサワーを開ける。

バスに乗っている時間は10分ほどだが、刻々と移り変わる海の夕焼けが素晴らしかった。座った場所が悪くて写真も撮れない。降りてすぐ浜辺に向かったがもう絶景は過ぎてしまった。それでも残景をカメラにおさめて…

【10月5日(月)】
起きる時間がだんだん遅くなって8:15起床。
いの一番に火を焚いて、食い物の残骸やゴミを焼却。アジの中骨はいい具合に燃えつづける。
最後の仕事は紫蘇の穂採りだ。ざるとハサミをもって蜂よろしく長めの穂を刈りまわる。実をしごいて水洗い。茶色の花ガラがまざってしまったが、そんなことは気にしない。ジップロックに入れて塩をまぶしてok。東京に帰るころにはいい塩漬けができている。

ちらかし放題の部屋を片付けて、火の始末をして、だいぶ軽くなったザックを外に出す。忘れ物がないか見渡して…メガネがない! いくらさがしてもみつからない。余裕があせりにかわって、じっとり汗をかく。額をハンカチでぬぐおうとすると、おでこにメガネがあった。
浜のバス停まではほとんど競歩。館山駅で乗り換える東京行きのバスはもう前売り券を買ってある。乗り過ごしたら一大事!

一人ですごした三泊四日、またやろう。楽しい! そのうち自転車もほしい。自転車などで走ったら、部落中に一日で知れ渡ってしまうけど…。

館山梁山泊には、月に二回はのろしをあげたい。この冬をすぎたころには見違えるようにしたいが!