再起第一戦(2020.8.15~8.16)
オヒシバ刈り

蜂の奇襲を受けて逃げ帰ったのがつい先週。。
いくさに勝ち負けのあるのは武士の習い。手の腫れも完全に引いたいま、捲土重来にうって出なければ天地万民に示しがつかない。…ので、土曜の朝に出撃を決意した。
まず後楽園のドイトへ雑草の根ほり道具の新兵器を買いに行った。朝からさすような陽射しでtシャツの背がいたいほど。着替え、医薬品、食料など装備を大型ザックに詰め込んで午後のバスに乗った。

お盆中にもかかわらず帰省を控える人が多いのだろう、バスは空いていて道も混んでいない。
途中で見上げる鋸山の断崖と密林は望むたびにそそられる。山岳部と探検部の血がさわぐ。

現地に着いたのは5時すぎ。今回はただちに火を焚く。これで館山梁山泊にのろしが上がったことを大地の神と森の精霊に伝える。
締め切った室内の温度計は35度をさしていた。外気温27度。
荷ほどきをして庭にでると、何もできなかった先週からの雑草が一面に繁っていた。生えているのはオヒシバという頑強な「雑草」。踏みつぶされても何ともないやつだ。これが絨毯のように生い茂っている。小手調べに新兵器を使ってみると、面白いように根から掘り取れる。
庭の中央部、駐車場から家に続く通路の草取りをすることにした。ここは君たちの占領する領域ではないという布告だ。大きい株も小さい株も片っ端から掘っていく。なかなか根気のいる仕事だが、これ以外に戦い方はない。

草刈りスタイルでかがむ姿勢は、一ヵ月トレーニングしたおかげで何の苦にもならなかった。しかし滴る汗にはまいった。日暮れまで仕事をして冷房の効いた部屋になだれ込む。シャワーをあびて生き返った。
晩飯を焚く気力もうせて、もっていった食料をあさり、ビールにすがる!
月のでていない夜空は満天が星の世界。天頂に天の川がわたり、南西にすばらしく輝く星がみえる。星座表をもって浜にでかけたい気分にも…。
泊まった翌朝はのんびり釣りにでも出かけようかと思っていたのに、長袖を忘れてきてしまった。炎天下の日干しはいやなのであっさり自己キャンセル。
ラジオ深夜便をききながら眠りに落ちたのは1時すぎだった。

翌朝はそうめん。シェフがいないとこうまで質素な食事になってしまうのかとうなだれたが、戦時なのだから仕方ない。早めに仕事を終えてまた館山のきんざ食堂でタコぶつと酢の物でも食おうかと思った!
朝9時作業開始!

庭を覆いつくすオヒシバとの戦いだ。一対一の殲滅戦だが、一方的にやっつけるだけだからこっちがへこたれなければ勝つ!
この戦いですばらしい戦訓をえた。熱中症回避策だ。
熱射の地べたにしゃがみこんで草取りをすると汗がしたたる。汗が眼鏡に落ちて手元が見えなくなる。面倒になってついには眼鏡をはずしたほどだ。
30分もすると体に熱がこもって耐えられなくなる。涼しい部屋に逃げ込んで水を飲んで扇風機の風を浴びる。10分もするとみるみる体が蘇るのだ。人間の体のすごい機能に感心しながら、三回四回と続けているうちに突然回復しなくなった。足のろれつがまわらないような感じになった。体のぐったり感もとれない。変だと思って室内の気温をみると32℃! 部屋中が暖まりきっていた。これじゃ体が冷えない。部屋の窓をしめてクーラーの風を直接浴びて扇風機の前に寝そべる。するとまたみるみる回復してくるのだ。おどろいた! がまんとがんばりほど悪いものはない。体の回復力を失うほどがんばってはいけないのだ。
そろそろラストスパートにするかと缶ビールを開けたが、これで体が15分と持たなくなった。

12時半に作業終了。
アカザはまだ花をつける気配もないが、もう手も届かないほど伸びている。うまく台風をやりすごせばありあまる種をとれる。
青紫蘇はいい具合に伸びていて、この調子でいけば実もたくさん採れそうだ。アロエは成長に号令がかかったように勢いがでてきた。

今回はオヒシバ刈の目標の8割達成。来週は土手の周囲の雑草刈に着手して、秋冬の全面攻勢の前哨戦に入る。もう敷地内に雑草の侵蝕を許さない。
庭も土手も、その石垣も、かならずやかつての景色を取り戻す。酔狂亭・館山梁山泊を構築する!