館山記録(maiバージョン)
第18次開拓団(2016年1月9日~10日)

あれはいつごろか。

tぽん(いわゆる「軍曹」)の「しゃれこうべ開拓団参加表明」は。

やがてワレワレは気づく事になる。

tぽんの口から溢れ出る、来たるべき彼の地「館山」に捧ぐ食いモノ譚!

それも熊にウサギにカンガルー、果てはワニのお手てや後ろあし。

店の扉を開けるや否や、やれ焼いてくれよう煮てやろうと、

目をキラキラさせ息つく暇なくまくしたてる食料計画。

弱いところを刺激され、食いしんぼうの私は赤ら顔にて狂喜乱舞、

バシバシ尻尾を振るもんだから、危険を察知した音治郎(当店マスター)、

なんとtぽんを料理係から外してしまった!!!!

アァ!モン・デュー!!

でもね。それはそれ。これはこれ。

一歩現地に足踏み入れたらもう最後、

事前に与えられた役割分担など関係ない。

おのがじしの得意分野にて、せいぜいのびのび活躍すべし。

ということで準備万端tぽんは現れた。

「ジンギスカン2キロ、ふぐ1キロ」それから「鹿肉馬肉」を持参して!

空まだ青いろ。コンロ前にはtぽん。

「にひひ」と笑いながら、いつものポーズにてグツグツと、鹿肉煮ているその隣には、

えー、恐れ多くも不肖なるこのわたくし、

内に秘めたるガルガンチュワの炎ふたたび灯し、

謹んで「にひひ」笑いを堪え、

缶ビール片手に鍋覗き込む。

どろんとした汁がボコボコ沸いてる。

仲間は外で汗流し、清き労働に身をやつしているというのに。

こんなに熱心に覗きこんだなら、ついには鍋底に我が目玉2個、

つるんと落っことし、ジュッっと溶けても言い逃れはできまい。

このまま行けばいつの日か「キョンの丸焼き」も夢ではなかろう。

そんな不埒な考えに、

またも「にひひ」が鍋にこぼれそうになる。

― おっとっと。

東の親方tぽんに対し、こちらも初参加、西の親方kさん。

10代の頃からアウトドアに慣れ親しんできた彼は「海と山の友だち」

茫々生えてる竹を使い、あれもこれも、ちゃっちゃと作る。

海に遊びにいこうとなれば、ひょいと釣竿出してきて、

ほんの数分にてフグの2尾を釣り上げる。

砂まみれになったフグ「こんなばずじゃなかった」と、怒った顔で私を睨む。

(因みにフグは再び大海原に帰ることを許された。)

(ぽーんと、風船みたいに投げ飛ばされて。)

kさんの数ある便利グッズ中でも、特筆すべきは自作の即席燗仕込水筒。

「外出先、ふいに燗酒ほんの一杯飲みたくなっても大丈夫、これがあれば直ちに叶えます」

そのからくりを目にした我々、「特許とってボロ儲け!」と大騒ぎしたのだが、

当の本人はどこ吹く風「単なる酒好きの遊びですから。頼まれれば廉価でお作りします。」

だが、酔狂人風の無欲さとは裏腹に、細部までこだわり抜かれた水筒のツラには書いてある

尋常ならざる酒へのこだわり、玄人好みの執念と愛。

「まいちゃん、日本酒飲むときは『やわらぎみず』を忘れずにね」

「ぶー。せっかく酒飲んでるのに『みず』をさすなど」

「そうすれば歯を磨いたまま寝るなんて事はしないで済むからね」

「・・・。(まさに返す言葉もない)」

という訳で、食道楽と酒道楽の達人加わり、楽しみ方さらに色々。

としみつさんと山鳥人がキッチンスペースに棚を二つこしらえてくれたので

調理補助担当としてはかなり使い勝手が良くなり嬉しい。

マスターの排水溝との闘いは未だ継続中だし、

やっつけなければならない竹は未だたくさん、gさんが見つけては根っこを掘り起こしてくれてる。

そんな中、役立たずの私はあっちへ行ったりこっちへ行ったり。

手持無沙汰でギーコギコと竹伐る間、空じゃトンビがぴーひょろろ

傍らで火にくべた枝がバチンと爆ぜ、家の中からはトンカチの音がリズムを刻む。

そんな日曜日、ギーコギコと鋸動かしながらわたくしは

時々、人生の事など考える。

最後に、私の記憶には多少の誇張と嘘が伴います。予めご了承ください。