一人開拓団(2015.10.18~19)
思い

少しばかりの夕飯と翌日の朝飯を買い込んで。

どうしても気になることがあって、行かずにはいられなかった。
小屋工事のために建物周囲には砕石が敷かれ、作業の出入りで建物の真裏(北側)の排水溝は存在の区別もつかないほどに埋まっていた。
埋まっている北の井戸は、ずぶずぶと長靴の縁までもぐっても止まらないほどぬかるんで、しみ出す水の行き場がなくなっていた。
この水が敷地に広がりあたりを湿気らせている。
少しでも、この場所の水はけだけでもしておかなければと思った。

東京駅10時20分のバスに乗って、平砂浦で下車。ここからだと歩いて5分で現地に着ける。

小屋の窓を開けて風を通し、休憩。2時すぎからクワと小さなシャベルを手に泥掘りをはじめた。蟹がたくさん出てくる。
掘った泥をバケツに入れて土手に運ぶ。汗もでる。
雨合羽のビニールスボンを履いたので、スボンも汗で蒸れて湿るほど。
小屋裏と、入口の直線排水溝を掘りおわると陽がかげってきた。
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とりあえず、掘っただけ。クワを入れただけで水が出る
ざっと草刈りも。そうしないと溝がみえなかった。
砕石が溝にこぼれ落ちていて…
シャワーを浴びて晩飯だ。
シジミの味噌汁と缶詰、つまみ用にもってきた塩辛もおかずにした。
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一人だと夜がながい。
すこしふくらみかけた月もまだ早い時間に西に傾いていく。月のない夜空に満天の星が輝く。オリオン座が東の低い空にうかぶ。
遅くなってから、聞こえていた波の音がやんだ。オリオン座は空の真上にきていた。
浜へ行ってみようと思った。月も落ちてしまったし、何も見えないだろうと思ったけれど。
夜中に懐中電灯をもって田舎の田圃道を歩いた。土道になると真っ暗闇でわずかな道筋も見えない。浜の砂地に入ると背の高い笹がかぶさって完全暗黒。
懐中電灯がなかったら、こんなところでも遭難する。

荒れているときはドドッと腹にひびく波も静か。潮が引いていて岩場にうち寄せてくだける白い筋がかすかに見えるだけ。
平砂浦の先、布良(めら)のほうには灯る明かりが点々と見える。
沖には二つ三つ遠い船の明かりが…
砂浜に寝ころんで星空を眺めたくもなったが、砂が服に入るとまた面倒だしと、無粋な思いにとらわれて「おうち」に戻った。

狭い網戸にして蚊取り線香をたいて、たんまりある日本酒を一つあけて塩辛だして。
ランタンの明かりで2時、3時まで起きていた。
なかなか贅沢な時間だった!
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広角を使わないで撮った全景。
標準レンズでは左右が納まりきれないので4枚のカットを合成しました。
これが人間の眼でみるのと同じ感覚の景色。(広角にするとパースがつきすぎる)

正月はここで過ごすのもいいかな、などと思ったり、、、
きっとそうする。