館山開拓団  2013.11.23(土)~24(日)


今回わたしは「泥班」で、主に土を掘り起こす、がに股作業。その勇姿たるや、春さんに「へっぴり腰!」と笑われるほどの情けなさ。終わってみれば、トイレに座るのも難儀なほどの筋肉痛。

帰宅してビール片手に畳にあぐらかくだけで、尻が痛い。こりゃ、今回の開拓団で、5センチくらいヒップアップしちゃったかも 開拓団から帰って、既に散々食って飲んでる癖に、炙った鮭とば齧りながら言う台詞じゃぁないか。
「泥班」楽しかった。女だからバール王にはなれないけれど、力仕事って好き。泥を運ぶ時に、身体の何処に重点を置きながら運べばいいか、とか、大股開きで段差を越える時に、どのタイミングで息を吐けば一番スプリングがきくか、とか探求してると止まらなくなる。
泥をシャベルで(へっぴり腰で)すくって、小さなバケツに入れて、小道をひょこひょこ歩いて捨てにいく。

小道の脇は昨日泥さらいした水路で、沢山の蛙が暮らしている。ほんの5センチ程の蛙。深緑と黄土色のマダラ模様。軍手した手で捕まえたら、ぴょんと私の手首に飛んできて、よく考えたら私、蛙に着地されるのは生まれて初めての経験だったのだけれど、その五本指×四本の冷たき清涼感が、今思い出してなお、美しく心にしみる。変温動物の繊細さ。泥さらいの時、水路の壁面には、慌てふためいている蛙がたくさんいて、みんな脚を「く」の字、「へ」の字にして、がまの脂ダラダラ流して一時避難してた。

労働に疲れたらn姉からこっそりガソリン貰って、ブルルルとエンジンかかって、また掘り起こす。掘り起こしてると、すっごい大きなミミズが出てくる。
横目で見てたら、さっちゃん、出てくるミミズ全部、平安の地に運んであげてるので、私もさっちゃんに倣って、せっせとミミズ運び。ついでに小さな芋虫も大きな芋虫も、全部同じ所に運ぶ。私の軍手にダランとぶら下がって不本意な引越しを余儀無くされた沢山のミミズ。私の軍手の中で丸まっていた沢山の芋虫、小さな脚付きのも、脚無しのも、全部同じ所に。二分の一畳ほどの、暖かく柔らかき土の楽園に。かつて大根が植えられていたあの約束の地に。
家の片隅のアロエが生えてるスペースに、とうとう音さんが囲いを設置。「みんなアロエをいじめるから」
地面を掘っていると、驚くべき色んなものが出てくる。1978年の三和銀行のカレンダー(まだ色鮮やか、しかもその年、私はこの世に欠片も存在していない)、入口と出口に小さな穴の空いた「ラッキョウ壺」(春さんの鑑定によれば、たいそう貴重な品)、未使用の絵の具セットや、蓋のないやかん、マグロフレークの空き缶や、バールにトンカチ。歪んだガラス玉や、きっちり蓋がされて中に透明な液体が入っている瓶、沢山の紐と沢山の加里の袋と、数えきれない電池。色とりどりの色鉛筆に、親指姫の大きさの白いポット。
それらを掘り起こしては脇に寄せ、土を運ぶ。まるでフンコロガシ(スカラベ)のように。
水路脇を行く時、正面に、みんなが切った竹の向こう、沈む夕陽とのどかな空。なんて綺麗なんだろうと息を呑む。

日頃甘やかしてる身体はあっという間に疲れを訴えたけれど、そこに乗っかる精神がどんどん元気になった。
自分の話ばっかりの報告になってしまったけれど、開拓団って、チームワークのもたらす喜びもあるけれど、やっぱりその中での個々の体験や感動も確実にある訳で、
そういう二方向からの楽しみ方が同時に味わえてしまう素晴らしいイベントだなと思う。
明日への活力を貰った。
お世話になった全ての皆様、本当にありがとうございました。