【その61】

  10年ぶりのハゼ釣り       音

鉢植えのハゼを二つも買ったら、魚のハゼが気になりはじめて、もう9月だからいっちょうやってみるかと昼すぎにごそごそでかけた。
いつもの突発症候群。
長年使っていた中通しの竹のハゼ竿を館山で無茶して壊してしまったので、上州屋へ行って一番安い竿を買った。リールつきで1700円也。イソメ540円。一番小さな発泡クーラー648円。これはビールと氷を入れるので必携!

ときどき通る芝浦のほうによさそうな場所があるのだけれどなじみがない。自転車では遠い。やっぱり地元の隅田川か。
日本橋川の末端に豊海橋というのがあって、隅田川への注ぎ口でいいのが釣れるのだけれどまだちょっと時期がはやい。重りも小さなのしかなかった。流れも強いし。
そこで南高橋と高橋の間の運河をねらってみることにした。最近、川沿いに遊歩道が造られて釣りもしやすい。護岸工事で川底がいじられていたらと不安ではあった。


右方向が下流で、味のあるトラス橋の南高橋が見える。その先で隅田川に注ぐ。昨日の雨で水が若干濁っている。


反対側の左端にわずかに見えるのが高橋。(江東区の高橋ではありません)

さっそく元気なイソメを大盤振る舞いで使って、入れ食いを期待した。
しかしうんともすんともこない。
対岸は護岸工事をしていないから、そっちに行こうかと思案しながら二本目の缶ビールを開ける。
日本橋川をクルーズする小さな水上バスが、川の真ん中を通ればいいのにわざわざこっちに近づいてきて、船上のおばちゃんが手をふるので、アタシも高級麦わら帽子をかかげて愛想をふったり…

少しずつ場所を移動。でも釣れないわ。
飽きてしまって、タバコくわえて缶ビール片手。
釣竿は糸をたらしたままベンチに座って竿先をながめるだけ。
一人で太極拳の稽古をしている人がいた。
その人に声をかけようかと立ち上がったとき、竿の穂先が揺れた。
あわててあげてみるとセイゴがかかっていた。
セイゴの通り道だ! 大急ぎで次のエサをつけて投げる。
すぐまたかかった。

でも、これっきり。
なんでハゼがいないんだ!

しょうがないから、月島の親水護岸のある運河に行ってみた。ここはみんなが釣って釣り尽くされているから敬遠しているのだけど…
10年ぶりに行ってみると景色がかわっていた。屋形船やレジャーボートがわんさか係留されていて、水門も閉められて工事中。これじゃあなぁ。

潮はすっかり上がってきて、階段の親水護岸は上まで水につかっている。1.6メートルの竿では護岸から遠い先の川底に届かない。
遠くに投げても係留のロープに針がひっかかって始末にわるい。
それでも昔とったきねづかで、ここぞと思う近場にぽいと落とすとすぐ食いついた。ハゼはこれでなくちゃ。
でも小さいの。

すぐ夕暮れになって、やたらと蚊にくわれて四匹釣っただけで退散。
ちびハゼを釣ってしまったお詫びに、残ったイソメのご馳走ばらまいて…

すぐ釣れる、どこかいい場所をさがしてみんなとハゼ釣りにいきたいですね。

新しい竹竿、買えないから、あの壊れた竿を修理してみようかな。ハゼなら大丈夫だし。