【その60】

  わぁーっ、てーへんだぁ       音

探険部で小屋に着いたのが夜中の1時半ごろ。
鍵を開けようとするとライトの光りの中にドアの壁をスーッと動くものがあった。アシダカグモだ。
いつもなら気にもとめないが、動きがおそい。よく見ると体の下に卵のうを抱えている。ライトを近づけても逃げない。

部屋に入ってテーブルを出し、缶ビールを開けて一休みしながら天井をながめると、ここにもいる。
これも卵のうを持っているようだった。ちかづいて見ると、触肢でがっちり卵のうを抱えている。

カメラスタンバイ。接写の撮り方がわからないので最短までカメラを近づける。
手ぶれをおそれながらシャッターをきった。
撮れた。

すでに孵化した子グモが左第2脚の関節のところと、右第2脚の先端にいるのが写った。
体の向きをかえたので、もう一枚。

すばらしく巨大な上顎も写せた。脚の斑紋から棘が生えているのもよくわかる。
右の第3脚でも卵のうを支えている。
ホットケーキのような卵のうだ。

風呂場をのぞくとここにもいた。

なんという勇姿。
卵のうには孵化した子グモがくっついている。はじめは模様かと思った。
拡大すると(↓)子グモが見えます。


徘徊性のクモ(網を張らないクモ)では日本最大。この時期に産卵する。
いい写真が撮れた。接写できればもっとよかったのだが…。

窓もぴったり閉め切っているのに、よく入ってくるものだ。
彼らはゴキブリを捕食する。人間にとってはありがたい味方なのだが、姿形で嫌われる。

私はいっこうにかまわないのだけど、この子たちが成長して部屋のなかあちこちに居ると、みんな嫌がるだろうな。
せめて殺さないでほしい。