【その44】

久々の言いたい放題。ネギと私   mai   

すずらん通りの八百屋でネギ買って、それはもう力強く白々とした立派なやつで、買い物袋からズンと飛び出てたその姿が、師走の夜道によく映える。
白山通りの古本屋の店先で島田雅彦立読みしてたら、靖国通りの古本屋のオヤジに見つかる。ネギだね。ネギです、ちょっと出ちゃって、鍋なんです。
その足で、予約していたカイロプラクティックへ。担当のお兄さん、開口一番、ネギ、めっちゃ出てますね。
着替える時、飛び出たネギの青い所が何かの拍子で裂けて、透明なネバネバしたやつがダラーっと手につく。生命感に満ちた瑞々しいネギの香りが周囲に満ちる。
買い物袋を手に施術室へ。アイロン台のような所に寝そべりグダグダ話す。
やっぱりこういうお仕事されてるとローストチキン食べる時なんかに、骨格が気になったりするものでしょうか。
あ、そうなんすよー!軟骨にも色んな種類があって…とか。
キリンも人間も、首の骨の数は等しく7個だという事も教えてもらった。

施術後、白山通りを歩いてる最中、店の前に繋がれていた犬を見て、あれ〜おりこうさん、と声をかけた。ネギ持って見知らぬ犬に話しかけるとは、しめしめ、私も順調にババア化してきたな。
そして帰りの車内、お姉さんにギロリと睨まれる。ネギ臭いのだろう。俯き知らん顔する。直ぐに降りますからね、お手柔らかに頼みますね。