【その40】

砂金採掘団   音   

川底の砂利を手ですくって、小石を裏返してみるとキラリと金色に光るものがくっついている。ごく小さい。
でもこれは金だと思い込む。なぜならそのすぐ上流の山には金の採掘場があったからだ。
指先にとったいくつかの金の破片を黒い石にはりつけて河原からあがった。

「そこの川で砂金がとれるんだよ」と中学二年のこーちゃんに見せると「知ってるよ、いっぱいあるよ」とにべもない。
彼は子供の頃からこのキャンプ場に遊びにきているので、ちょっと先輩風を吹かせたかったのかな…。

昼飯を食べてからまた河原におりた。ニャゴさんも一緒だ。今度はプラコップを持っていった。
石にはりつく金を指先で採るのは大変なので、水を入れたプラコップの中でゆすぐとうまく落ちていく。
河原にかがんでいるわれわれをみつけて、こーちゃんもやってきた。彼もプラコップをもっている。


箸でつまんでティッシュの上に…

←金採り少年とおじさん


「おっ、これは大きいぞ」とニャゴさんがプラコップのなかに落とす。川底にたまった落ち葉にも金がくっついている。
最初のときよりかなり効率がよい。

「もう開拓団やめて、こっちで砂金採りしようか」
「そうだね、ちょっとやっただけで、これだけ採れるんだから。砂金採掘団にする?」
「なべさんならやるよ。山には登れなくてもいいんだよ、ここならしゃがんでるだけだから」
「河原にかがむ金採りジジイになるな」
「遊ぶところもないし、夜、イワナ食うだけ」
「金(カネ)がたまる一方だよね」
「でもこの金(キン)じゃ、自販機には使えないよ」
「やっぱりここでも眺めるだけか!」

「芦坊さんも誘う?」
「うん、帰ってくるのは水曜日だけでいいんだから」
「これジャバジャバって館山の排水溝に流したら、ヒ○ノさんも排水溝にくるよ」
「あっ、金だ、金だって一日中掘って、ああ〜っ疲れた…って」
「もう朝までおしゃべりしないよ」

カメラのレンズキャップに置いてみた。
夢は広がる! ゴールドラッシュ。
山梨県某所

急斜面でのワラビ採り

さっちゃんの友達仲間のキャンプに相乗りさせてもらった楽しい一泊でした!