【その38】

愛と哀しみのボロネーゼ   mai   

起床。
トマトソース作ろう。
何故ならトマトソース好きだから。
ニンニクないや。ニンニク味噌漬けでいいや。3個。いや、ちっちゃいから4個。ドライトマト刻んでポイ。唐辛子2本、面倒だから手で千切って鍋に入れて、それからコリアンダーの粒ばらばら入れる。これが私のトマトソースには必須なのです。
オリーブオイルたっぷり注いで、弱火にかけて、暫くしたらトマト缶二本で出来上がり。
出かける準備でドタバタしていて、唐辛子調理にありがちな初歩的ミス。コンタクト入れて、目ん玉から火が出る。いたたたたー。

書店はなかなかに忙しく、一時作業場周辺本に埋れて足の踏み場がなくなる程に。しゅっぽっぽーしゅっぽっぽーと蒸気機関車が頭の中を回り続ける。

閉店後、新宿にて人と会い、暫し談笑。それから別れて「そーだ、ラーメン食べよ」と独り歌舞伎町へ。
コマ劇過ぎて、右にも左にもそびえ立つラブホ。携帯手にしてぶらぶらしてる男たちと、黒くて四角い布袋持っていそいそと過ぎ去って行く少女たちの中、カーキ色の上着を首までとじた女、腹減らしてここにあり。

カウンターに座り、瓶ビールとラーメン注文。汗ばみつつ、ラーメン食べて汁飲んでビール飲む。お腹たぷたぷ。
よっこらせと立ち上がり、若干苦しいので徒歩帰宅。ヘッドホンから矢野顕子「ラーメン食べたい」聴きながら。

道に迷ってやっとの事で新宿通りに到達。せかせか歩いて四ッ谷三丁目丸正本店に辿り着く。
我が三種の神器、ヤゲン軟骨と鶏ガラと豚足をカゴに入れたらあとは遊ぶだけだと、鮮魚コーナーへ。
魚一尾丸ごとラップでグルグル巻きにして陳列してる一角がお気に入り。
やがら880えん。やがらって初めて見た。ピンクの細長いやつ。体長50センチくらい。ぱっと見どっちが頭でどっちが尻尾か分からない。
むつ3980えん。目が大きい!!人間でいったら眉毛から顎の付け根まで目。顔面の8割方が目。またの名を「オンシラズ」子と親は一緒に暮らさないから。
とびうお398〜500えん。幼い頃、母が台所で見せてくれたのを思い出す。広げた飛魚のヒレは蝶の羽根ように美しかった。
金目5800えん。圧巻。全身を朱墨で染め上げたような鮮やかさ、輝きで今にもはちきれそう。
薄桃色の腹を見せて裏返しになってるコチを一通りひっくり返して、鮮魚コーナーチェック終了。
引き続き貝のブースを覗く。やれやれ、今日もみる貝はだらしなく身を垂れ流しで可愛い。
鶏ガラとヤゲン軟骨と豚足だけ買うのはどことなく恥ずかしいなと思い、カゴに青梗菜とレモン入れてお会計。

再び「ラーメン食べたい」聴きながら夜道を歩く。昔は変な歌と思ったけど、今は深く共感。
独りでラーメン食べたい。チャーシューいらない、ナルトもいらない、ネギは入れてね、ニンニク山盛り入れてね。男も辛いけど女も辛いのよって、そんな歌詞。
そうそう、男女で並んでラーメンも素敵だけれど、女だって、独りでラーメン屋でラーメン食べる時間が必要なのだ。

帰宅し、冷蔵庫を覗く。それこそムツの眼差しで。
ガラス瓶の中、昨日漬けた大豆が酢吸ってぱんぱんで苦しそう。膨らんで蓋まで増量してしまって手の施しようがない。鍋の中では今朝作ったトマトソースが悪どい程に真っ赤っか。

今日もなんて幸せな欲深き一日。

参考映像→ラーメン食べたい
http://youtu.be/9MsAh3T8iuw