【その31】 |
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金曜日。意を決して終電で帰ったくせに、考え事してたら一駅乗り過ごして新宿三丁目から徒歩帰宅。 これ以上ないくらいの真夜中なのに、空が薄ら明るい。夜が透き通ってしまうから気をつけて。 道端に捨てられているボロボロの扇風機。もうずっと昔から、回る事を忘れてしまっているかのような姿でさ。 交番の前、仁王立ちで頼もしいおまわりさんに「四ツ谷は向こうですか」と念のため聞いてみる。よし、航路は確かなよう。面舵いっぱーい。 宝くじ売り場の真横で、せかせかと段ボールで寝床を作るおじさん。いい夢みるにはうってつけの場所だからなと。さもありなん。 それから、ふいにかかってきた酔っ払い電話越しの喧騒。話していて、次第に愉快になってきたところでブチッと電話が切られ、百万光年の隔たりに遮られる君と俺。 非常階段が薄明かりに照らされてぐるぐる上昇していく様が美しい。巨大なDNAみたい。 あ。タバコお店に置きっ放しにしてきちゃったな。 なんだ馬鹿だな私。やっと辿り着いた我が家を通り越してコンビニへ。 途中、二十代の男の子2人組が道端にしゃがみ込んで恋の話なんかしてる。 で、タバコ買って家の直前でポツリ。三分位、ザーッと雨降った。 そんなこんなで、無事帰宅。 何か面白かったな。乗り過ごして良かった。 |