その他みんなの言いたい放題 【その3】mai
仏の顔も三度まで

ビール飲み過ぎで目下下腹の勢力拡大華々しく、今やオーストラリア大陸の地図を伸び伸びと描けそうな程の悠々たる広がりで、そののどかなる光景には我ながらほれぼれしてしまうのだけれども、干からびた罪悪感がちりちりと毛先を焦がすので、やれやれ、明け方夢の中、どんぶらこっこと大海を行く酩酊船の船長に
「さらば」
と別れを告げて、眠る私の瞼をこじ開けて、右足左足を交互に前に出す。

この春は曙橋から神保町まで徒歩通勤だ、いまにみてろよ、下腹など瞬く間に背水の陣。
市ヶ谷過ぎると靖国通りは花びら舞い踊る桜並木。(毛虫らの決死のスカイダイビングに気をつけて!)

二匹のダルメシアンを連れて自転車をこぐお兄さんや、ジャージ姿でコンビニに入るピンク色のお姉さんの他は、人・人・人、会社に急ぐ人の群れ!

しかし、私は彼らをぐんぐん抜き去る早足で歩く。誰独り、私を追い抜けない。
佐川の兄ちゃんがてれてれ走るふりしてたら、それも容赦なく追い抜く。
日々の憤怒を吐き出しながら、私はとても速く歩く。
汗かいて、湯気が出て、頭の中マーブリングで、そらみたことか、あっという間に神保町に到着。

ただいま、愛する町よ。さて働くか。