その他みんなの言いたい放題 【その29】 mai
アリンコ★ララバイ

アリンコがベランダに大量発生した。
ので、アリンコ、巣ごと全滅に至らしめる餌を置いた。
設置した当日は、胸がきゅーんとなって、エサをワッショイワッショイ持ち帰るアリンコを夜更けまで見守った。
それから数日、どんなに酔っ払って帰っても、冷蔵庫より先にベランダに直行し、アリンコのワッショイを見に行った。
あんなに沢山いたのに。
終電で帰宅した中秋の名月過ぎた今晩、ベランダにアリンコの姿はない。
砂糖で他所に誘導するとか、お前、他に手はなかったのか。
無名のアリンコらの人生を、何て悪どい手を使って踏みにじったのか。
レモン色の顆粒を誇らしげに運んでいたアリンコその一、そのニ、その三の姿を思い出す。
運び去るアリンコを哀れむ反面、素通りするアリンコを憎らしく思っていた私。
己を苛む罪悪感。
ああ。何という悲しみ。
たたみ鰯でも炙って飲むしかない。網の上のたくさんの目玉に見つめられながら。
献杯。