その他みんなの言いたい放題 【その19】三才
S氏のサラリーマン日常(通勤妄想編)

S氏は通勤に地下鉄を利用している。最近のサラリーマンで昔ながらの鞄ではなく、ザックを利用している人もチラホラ見かける。そういえばSD氏もそうであった。そのザックに「THE NORTH FACE」と記されていることが多い。これは何だ?

NORTHは北、FACEは顔面である。面といえば剣道の「めーんっ!」である。従って「北面」となる。

ところで物事には必ず両面・表裏があり、歴史があることを前もって承知しておく必要がある。この「北面」を理解するにも当然要求されることである。「北面」の両面・表裏といえば、そう「南面」である。

昔の中国では為政者は南向きで政治をとった。例えば論語の擁也第六の冒頭に「子曰擁也可使南面」とある。これは孔子の門人である擁について「擁は南面させてもよい。」ということであり、「良い為政者になるよ。」ということである。
では南面した場合の問題点は何か。敵は当然目の届かない背面、即ち北面から攻めて来る。従って南面すると北面をどう守るかが、大きな課題となってくる。そのためにはまず武力に優れしかもタフな者が必要である。しかしそれだけでは不十分である。なぜならその者が敵の回し者かもしれないからである。つまり北面を守る者は、武力に優れ、タフで、しかも絶対の信頼が置ける者でなければならない。

この事情は日本でも同様で、十一世紀末に白河法皇が「北面武士」を創設しており、代々誰が務めたかの記録がある程の重要な役目なのである。
そう既にお気付きのように南面VS北面は今から二千五百年以上も前から確立されている概念なのである。

以上のことから「「THE NORTH FACE」とは「タフで絶対の信頼が置ける製品ですよ!」と言わんとしているのは明白な事実である。一部の人は「アイガーの北壁」とか山関係かと勘違いしているようであるが、物事の一面だけを見て早計に判断することは厳に慎むべきことであるということが良くわかる。

注)「擁」は本当は木偏が無いのですが文字化けの可能性があるのでお許しを・・・