■ 恋人志願 ■
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アパートに戻ると、部屋の前に見知らぬ少年が立っていた。
「この部屋の奴か?」
ジロリと睨み上げて偉そうに聞いてくるその容姿に、悠史は思いっきりときめいた。
「そうだけど?」
平静を装って答えると、少年は鼻で笑った。
「そうか。オレはタケルだ。お前の両親に頼まれて来てやった。じゃ、中へ入るぞ」
そう言って、少年は悠史の腕を掴むと、ドアを蹴り開けた。その一撃で、簡単にドアの鍵は弾け飛んでしまった。
部屋に入ると、少年――タケルは着ていた衣服を脱ぎ始めた。
「ちょ、ちょっと」
さすがの悠史も慌てて止める。こんな真っ昼間から見知らぬ男の部屋で何をする気かと。そう聞く悠史に、タケルは平然とした顔で答えた。
「ヤるに決まってるだろ」
「ヤるって…な、何を?」
思わず声が裏返る。この少年――タケルはどう見ても15か16か、完璧に未成年の年齢だった。そんな子どもが何事かと。援助交際など頼
んだ覚えはない。この少年なら、頼んでも一向に構わないのだが。いや、問題はそんなことではなくて。
「言っただろ? お前の両親に頼まれたって」
そう言って、タケルは衣服だけを脱いで下着姿のままベッドの上に座った。思った以上に筋肉質ではあったが、身長の割りには発育だけは良さそうだった。
「毎日毎日女遊びばかりでどうしようもない息子に、少しは反省させようって魂胆らしいぜ」
「は?」
「ま、金もたんまりいただいたし、一回きりだが、相手をしてやるぜ」
タケルはぼーっと突っ立つ悠史の手を取り、引き寄せる。悠史はされるまま――と言うよりも、自分からタケルの上に覆いかぶさるようにして、二人で重なり合ってベッドの上へ倒れ込んだ。
「優しくしろよな」
タケルはそう小さく呟くと、瞳を閉じて唇を近づけてきた。
何だか良く分からないが、悠史はゆっくりタケルに唇を重ねていった。